数学C / 空間ベクトル

空間ベクトルの実数倍と差

★ 基礎実数倍

問題

のとき、 を求めよ。

ヒントを見る

実数倍を先に処理してから、成分ごとに引く。

解答・解説

方針

実数倍は各成分を定数倍、差は成分ごとに引く。 を求めてから を引く。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 実数倍と差の組み合わせ。成分ごとに処理する。

まず、 を計算する。

次に、 を引く。

答えは

平面のときと、何も変わらない。 成分が つ増えただけだ。

検算しておこう。

答えに を足し戻せば、 に戻るはずだ。

秒で終わる検算。 成分が増えるほど、符号ミスの危険も増える。この習慣を、必ず持っておきたい。

そして、 という形( 次結合)には、幾何的な意味がある。

それは別解で見よう。

公式実数倍 、差は成分ごと

① 実数倍。

② 差をとる。

xyz2a−b2a−b
2a=(2,4,6) の終点に −b をつなぐと 2a−b=(2,3,4)

まとめ:空間でも「実数倍は各成分を定数倍、差は成分ごとに引く」。 成分になっても、成分ごとにふつうの数の計算をするだけだ。

発展 — 一歩先へ。 次結合が、何を張るか」という問い。その答えが、線形代数の中心にある。

本のベクトル が、空間全体を張るかどうか。

判定方法は、 つ。

この値は、 ベクトルが作る平行六面体の体積だった。

体積が でない 本が"つぶれていない" 空間全体を張る

体積が なら、 本は同一平面上にあり、 次元分しか張れない。

そして、この値は、行列式でもある。

「行列式 次独立 連立方程式が一意に解ける」

この つが、同じことを言っている。

幾何(体積)、代数(独立性)、方程式(可解性)が、 つの数で結ばれる。

これが線形代数の美しさだ。

そして、この構造は、次元を上げても壊れない。

次元空間で、 本のベクトルが独立かどうか。

次の行列式を計算すればよい(コンピュータの仕事だ)。

現代の応用は、この判定に満ちている。

主成分分析(PCA)。

次元のデータがあったとして、実は "本質的には 次元しかない" ということがよくある。

残りの 次元は、最初の 次元の 次結合で書けてしまう(あるいは、ほとんどノイズ)。

「データの本当の次元を見つける」 — それが主成分分析だ。

顔認識では、 ピクセルの画像( 次元)が、実は 次元程度の"顔空間"に収まることが知られている。

だから、 個の数字で、顔を再現できる。

画像圧縮も、動画配信も、この原理で動いている。

本のベクトルは、平面しか張れない」

この素朴な事実。

その裏返しとして、「高次元のデータも、実は少数の方向で表せる」という、現代のデータ科学の中心思想が生まれている。

という、なんでもない計算。

その結果が「 の張る平面上にある」という事実の中に、線形代数のすべてが芽生えている。

別解

は、 が張る"平面"の上にある。

という形のベクトルを、 次結合という。

をいろいろ変えると、どんなベクトルが作れるか。

本のベクトルの組み合わせだけで、空間全体を覆えるだろうか。

覆えない。 作れるのは、 枚の平面だけだ。

( が平行でなければ、原点を通る 枚の平面。)

この問題の も、その平面の上にある。

確かめてみよう。

平面の法線ベクトルは、外積で求まる。

この は、 にも にも垂直なはずだ。

確かに、両方に垂直。

では、答えの は?

これも、 に垂直だ!

つまり、 は、 が張る平面の上にある。

当然だ。 は、 次結合なのだから。

平面の方程式は

この平面上のベクトルは、すべて の形で書ける。

逆に、平面の外にあるベクトル — たとえば は?

あ、これも になった。 つまり も平面上だ。

では は?

これは平面の外。 では、決して作れない。

本のベクトルでは、 次元分しか作れない」

空間全体( 次元)を覆うには、 本目のベクトルが要る。

この「何本のベクトルで、どこまで届くか」という問いが、次元の概念そのものだ。

  • 直線()
  • 平面()
  • 空間全体()

ただし、 本目が、最初の 本が張る平面の外を向いていること( 次独立)が必要だ。

平面の中にある 本目を足しても、平面のまま。 何も広がらない。

次独立な 本のベクトルが、 次元を張る」

空間ベクトルの計算は、この構造の上で行われている。

ポイント

  • 差は成分ごとに引く。

よくある間違い

  • 成分が なので、その成分を計算せずに飛ばしてしまう。 と、きちんと引く
  • と読み違える。 が掛かるのは だけ
  • 成分の計算 を、 などと写し間違える。 成分すべてを、ていねいに