数学C / 空間ベクトル
空間の単位ベクトル
問題
と同じ向きの単位ベクトルを求めよ。
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単位ベクトルは長さで割って作る。まず大きさを計算しよう。
解答・解説
方針
単位ベクトルは 。 で各成分を割る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 単位ベクトルの作り方は、平面と同じだ。
自分の大きさで割る。
まず、大きさを計算する。
次に、各成分を で割る。
確かめる。
大きさが になった。
「向きはそのまま、長さだけを に」
空間でも、まったく同じ操作である。
そして、この つの成分には、実は幾何的な名前がついている。
方向余弦 — それは別解で見よう。
① 大きさを求める。 。
② 大きさで割る。
まとめ:空間でも単位ベクトルは「大きさで割る」。 の大きさは 。平面と同じ作り方だ。
発展 — 一歩先へ。 単位ベクトルは、「向きだけの情報」を担う。では、向きの全体は、どんな形をしているか。
大きさ のベクトルの終点を、全部集める。
平面( 次元)なら、単位円。
空間( 次元)なら、単位球面。
「向きの集合 球面」
この事実が、地球儀を思い起こさせる。
地球上の位置(緯度・経度)は、まさに「原点(地球の中心)から見た方向」だ。
単位ベクトルは、 つの成分をもつが、自由度は しかない( という制約があるから)。
その つの自由度が、緯度と経度である。
( が緯度、 が経度。)
球面上の点を、 つの角度で指定する。 これが極座標だ。
そして、ここに深い問題が潜んでいる。
「球面を、平面の地図に写す」という問題である。
地図投影法。
球面を、どうやっても平らな紙に、歪みなく写すことはできない。
これは、ガウスが証明した数学的な事実だ(驚異の定理)。
球面は、平面と本質的に違う曲がり方(曲率)をもっている。
だから、どの地図にも、必ず歪みがある。
- メルカトル図法: 角度は正しいが、面積が歪む(グリーンランドが巨大に見える)
- モルワイデ図法: 面積は正しいが、形が歪む
- 正距方位図法: 中心からの距離は正しいが、それ以外は歪む
「すべてを正しく写す地図は、存在しない。」
この不可能性は、球面の幾何が、平面の幾何と本質的に異なることの現れだ。
そして、球面の幾何では、常識が通用しない。
- 三角形の内角の和が、 を超える(球面三角形)
- 平行線が存在しない(すべての大円は交わる)
- 最短経路は、直線ではなく大円(飛行機が北極回りで飛ぶ理由)
ユークリッド幾何とは違う、非ユークリッド幾何の世界だ。
そして、アインシュタインの一般相対性理論では、
「宇宙そのものが、曲がった空間である」
質量が、空間を歪ませる。 光は、その歪んだ空間の"最短経路"を進む。
だから、重い星の近くでは、光が曲がって見える(重力レンズ)。
単位ベクトル — 大きさ の、ただの方向。
その集合が球面をなし、球面の幾何が、宇宙の形を語る言語になっている。
別解
単位ベクトルの成分は、「各軸となす角の 」である。
が、 軸となす角を としよう。
を、内積で計算する。
軸となす角 は
軸となす角 は
つ並べると
単位ベクトルと、完全に一致した!
「単位ベクトルの成分 各軸との角の 」
この つを、方向余弦という。
そして、方向余弦には、美しい関係がある。
確かめよう。
なぜ、 になるのか。
単位ベクトルの大きさが だからだ。
当たり前のことを言っているにすぎない。
だが、この式には意味がある。
平面( 次元)なら、 に対応する。
( 軸との角が なら、 軸との角は で、。)
空間版の「三角関数の基本公式」なのである。
実際の角度を、計算してみよう。
は、 軸から 、 軸と 軸からは 傾いている。
( と の成分が等しいので、対称なのは当然だ。)
方向余弦は、結晶学や測量で日常的に使われる。
「この方向は、 つの軸に対して、それぞれどれくらい傾いているか」
その情報を、 つの数で完全に記述できる( 乗の和が という制約があるので、実質的には つの自由度)。
空間の"方向"を数値化する、標準的な方法なのだ。
単位ベクトルとは、「方向そのもの」を表す数の組。
その正体は、 つの角度の だった。
ポイント
- 単位ベクトル 。
- 成分を大きさで割る。
よくある間違い
- を計算せずに、成分の和()で割ってしまう。割るのは大きさ
- 片方(または つ)の成分だけを割る。 成分すべてを、同じ で割る
- 分数を約分しすぎて の つ目・ つ目を にしてしまう。成分ごとに、もとの値を で割る