数学C / 空間ベクトル

空間ベクトルの和

★ 基礎ベクトルの和

問題

のとき、 を求めよ。

ヒントを見る

成分ごとに足すだけ。成分が つに増えても規則は変わらない。

解答・解説

方針

和は成分ごとに足す。 成分それぞれ。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 空間ベクトルの和も、成分ごとに足すだけだ。

成分どうし、 成分どうし、 成分どうし。

つの方向は、互いに独立している。 縦にどれだけ動いても、横の位置は変わらない。

平面のときと、まったく同じ考え方だ。 成分が つ増えただけ。

図で見れば、 の終点に を継ぎ足したもの。

空間でも、この「継ぎ足し」は変わらない。 ただ、その矢印が奥行き方向にも伸びる、というだけだ。

空間ベクトルの計算で大事なのは、「平面でできたことは、そのまま空間でもできる」と知ることである。

恐れる必要はない。 成分が つ増えたぶん、書く手間が増えるだけだ。

公式空間ベクトルの和

xyzaba+b
a+b の三角形則(空間)。a の終点に b をつなぐと a+b

まとめ:空間でも和は成分ごとに足すだけ。 成分になっても計算は同じ。実数倍・差も成分ごと。平面ベクトルの自然な拡張だ。

発展 — 一歩先へ。 「次元 基底の本数」という定義は、思わぬところで役に立つ。

色の話をしよう。

人間の目には、 種類の錐体細胞がある(赤・緑・青に反応する)。

だから、我々が知覚する色は、 次元のベクトルとして表せる。

「光の三原色」の正体が、これだ。

テレビもスマホも、赤・緑・青の つの光だけで、あらゆる色を作り出している。

なぜ つで足りるのか。 人間の色覚が 次元だからだ。

もし人間に 種類目の錐体があれば、 原色では足りなかった。

(実際、鳥や一部の昆虫は 色型の色覚をもつ。彼らにとって、我々のテレビの色は"偽物"に見えているかもしれない。)

同じ話が、音にもある。

音の波形は、 の重ね合わせで書けた(フーリエ級数)。

この場合、基底は無限個ある。 つまり、音の空間は無限次元だ。

だから、音は色より"豊か"である。 つの基本音を混ぜても、すべての音は作れない。

(色の場合は、 つの光を混ぜればすべての色が作れてしまう。)

さて、量子力学では、状態がベクトルとして表される。

電子のスピンは、 次元。

「上向き」と「下向き」の つの基底で、すべての状態が書ける。

そして、 が「重ね合わせ」の係数になる。

量子コンピュータの ビット(量子ビット)は、この 次元ベクトルだ。

個の量子ビットなら、 次元。

個の量子ビットで、 次元宇宙の全原子の数( 個)を、はるかに超える。

この途方もない次元の広さが、量子コンピュータの力の源である。

「基底の 次結合で、すべてを表す」

という、素朴な分解。

その考え方が、色を作り、音を分解し、量子の世界を記述している。

別解

基本ベクトルで分解して、和の意味を確かめる。

空間には、 本の"ものさし"がある。

それぞれ、 軸、 軸、 軸の正の向きを指す、大きさ のベクトルだ。

基本ベクトルと呼ばれる。

どんなベクトルも、この 本の組み合わせで書ける。

方向に 方向に 方向に — 成分の意味が、そのまま式になっている。

同様に

この つを足そう。

「同類項をまとめる」だけの計算だ。

文字式の計算と、まったく同じ。

という文字だと思えば、ベクトルの計算は文字式の計算そのものになる。

なぜ、同類項どうししかまとめられないのか。

は、方向が違う。 混ぜることができない。

「東へ 」と「北へ 」を足しても、「」にはならない。 方向が違うからだ。

この「混ざらない」という性質を、 次独立という。

本の基本ベクトルは、互いに独立で、しかも空間全体を覆う。

このような組を、基底という。

次元空間の基底は、必ず 本のベクトルからなる。 本では足りない( 枚の平面しか覆えない)。 本では多すぎる( 本は他の 本で書けてしまう)。

「次元 基底の本数」

これが、次元という言葉の、数学的な定義である。

次元空間とは、「 本の独立なベクトルで、すべてを表せる空間」のことなのだ。

ポイント

  • 和は成分ごとに足す( 成分)。
  • 平面ベクトルと同じ要領。

よくある間違い

  • 成分を足し忘れて、 成分だけ答えてしまう。空間ベクトルは 成分すべてを書く
  • 成分どうしを混ぜて足してしまう( 成分と 成分を足すなど)。同じ位置の成分どうしを足す
  • 和の大きさを だと思う。 は、和のベクトルの成分から計算し直す