数学C / 平面ベクトル

面積公式の証明(コーシー・シュワルツ)

最難関編内積不等式の証明

問題

を平面上の零ベクトルでないベクトルとする。

(1) すべての実数 について が成り立つことを用いて、不等式 を示せ。

(2) が平行でないとき、 の張る三角形の面積が で与えられることを示せ。さらに のとき を導け。

ヒントを見る

(1) について展開すると2次式 — 「すべての で0以上」を係数の言葉に翻訳する道具は何か。(2) 面積の を、内積で書ける に置き換えると根号の中に何が残るか。

解答・解説

方針

(1)は |a−tb|² を t の2次式として展開し、常に0以上 ⟺ 判別式≤0 と読む。(2)は S=½|a||b|sinθ の sin²θ=1−cos²θ に内積の定義を入れると根号の中身がそのまま現れ、成分計算(ラグランジュの恒等式)で行列式の形に畳まれる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 (1)のヒント が全てだ。左辺を展開すると の2次式になる。

どんな でも0以上の2次式は、判別式が0以下。その判別式こそ、示したい不等式(コーシー・シュワルツ)の姿をしている。

(2)は面積公式 から。 に内積の定義を入れると、根号の中身に(1)の左辺の形がそのまま現れる。あとは成分で展開すれば、行列式の形に畳まれる。

重要(すべての )⟺ 判別式 が内積と面積の橋になる

① (1) 判別式で示す。 展開すると

の2次式がすべての実数 で0以上だから、判別式は0以下:

② (2) 面積公式。 なす角を ()とすると だから

((1)より根号の中は0以上 — 不等式が公式の「資格審査」になっている。)

③ 成分で畳む。 に成分を入れて展開すると

(交差しない項 が相殺して、完全平方だけが残る。)よって

まとめ: 「長さの平方 ≥ 0 → 判別式」がコーシー・シュワルツの最短証明で、その差 の正体が(面積の2倍)の平方 — 不等式と面積公式が同じ1つの式の裏表であることを、この2問構成が見せている。

発展 — 一歩先へ。 3役を演じた量 は、行列式(2次)であり、3次元では外積の第3成分になる。符号まで見ると「 から へ反時計回りなら正」という向きの情報を持っていて、面積に符号をつけた「符号つき面積」は多角形の面積公式(靴ひも公式)へ一直線につながる。

(1) の2次式の判別式(証明) (2) から(証明)

別解

成分の恒等式で一撃(ラグランジュの恒等式)。 とおいて、示したい差を直接展開してしまう。

(展開すると が消え、残りが完全平方にまとまる。)右辺は平方だから — これで(1)が出た。等号は 、すなわち平行のとき。

しかも(2)の面積公式は、この恒等式の右辺そのもの:

の2次式(本解)は「不等式の構造」を、成分の恒等式(本ルート)は「差の正体は平方だった」という種明かしを教えてくれる。 という量が、不等式・面積・平行判定の3役を1人で演じている。

ポイント

  • の判別式で
  • 成分展開で に畳まれる。

よくある間違い

  • 判別式の向きを誤る(すべての ⟺ 判別式 。「解をもつ」条件と混線しやすい)。
  • (2)で ()の確認なしに とする。
  • 等号条件(平行のとき、面積0)への言及を落とす。