数学C / 平面ベクトル
単位ベクトル
問題
と同じ向きの単位ベクトルを求めよ。
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単位ベクトルは『向きを変えず、長さを にした』ベクトル。長さで割ればよい — まず大きさを求める。
解答・解説
方針
単位ベクトルは「向きはそのまま、大きさを にしたもの」。 で作る。 で割る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 単位ベクトルとは、大きさが のベクトルのことだ。
向きはそのまま、長さだけを にしたい。
どうすればいいか。
自分の大きさで、割ればいい。
なぜ、これで大きさが になるのか。
「 cm の棒を、 で割ると cm になる」 — それと同じ理屈だ。
まず、 を計算する。
そして、各成分を で割る。
確かめよう。
大きさが になった。
「ベクトルを自分の大きさで割ると、向きはそのまま、長さが になる」 — 単位ベクトルの作り方は、これだけである。
① 大きさを求める。 。
② 大きさで割る。
まとめ:単位ベクトルは「大きさ 、向きは同じ」。作り方は元のベクトルを自分の大きさで割るだけ。 の大きさは で確かに 。
発展 — 一歩先へ。 「大きさで割って、 にする」— この操作は、正規化と呼ばれ、数学と工学のあらゆる場面に現れる。
例 : 統計の標準化。
平均を引いて中心を に、標準偏差で割って、ばらつきを にする。
「単位ベクトルを作る」のと、まったく同じ発想だ。
大きさ()で割ることで、単位のない世界へ移す。
例 : 確率密度関数。
関数を確率として使うには、全体の積分が でなければならない。
正規分布の式に、 という係数がついているのは、この「正規化」のためだ。
ガウス積分の値 で割って、全体を にしている。
例 : 量子力学の波動関数。
「粒子がどこかに存在する確率は 」という要請。
波動関数は、必ず正規化されている。
例 : 単位の変換。
km は m、 時間は 秒。
「単位を に揃える」ことで、異なる量が比較可能になる。
すべてに共通する思想。
「基準を にすると、比較と計算が楽になる。」
そして、この思想の究極が — 単位系そのものだ。
物理学では、「自然単位系」というものを使うことがある。
すると、アインシュタインの式は
エネルギーと質量が、同じものになる。
式から余計な定数が消え、本質だけが残る。
「基準を に選ぶ」という、ただそれだけの操作。
それが、式を美しくし、本質を露わにする。
という、なんでもない単位ベクトル。
そこには、「基準を作る」という、科学の根源的な営みが宿っている。
別解
単位ベクトルの成分は、 と である。
単位ベクトルの正体を、三角比で見てみよう。
大きさ のベクトルは、原点を中心とする単位円の上にある。
単位円上の点は、角 を使って、こう書けた。
つまり、単位ベクトルは、必ずこの形をしている。
この問題の答えと、照合しよう。
だから
確かに、 ✓
この は、何度だろうか。
となる角は、約 。
(–– の直角三角形の、いちばん小さくない鋭角だ。)
この見方の御利益。
単位ベクトルは、「向きだけの情報」を担っている。
大きさを捨てて、方向だけを取り出したもの — それが単位ベクトルだ。
そして、任意のベクトルは、こう分解できる。
「大きさ 向き」 — ベクトルの つの情報が、きれいに分離された。
この分解が、実用上とても便利だ。
例: 力の分解。
「 の方向に、大きさ の力をかけたい」
単位ベクトルを使えば、一瞬だ。
例: ゲームのキャラクター移動。
「マウスの方向へ、一定の速さで進む」
マウス方向のベクトルを単位化し、速さを掛ける。
もし単位化を忘れると、マウスが遠いほど速く動いてしまう — よくあるバグだ。
例: 光の計算(CG)。
面の法線ベクトル(垂直な向き)は、必ず単位ベクトルにしておく。 そうすれば、光の当たり具合(内積)が、 から の範囲に収まって扱いやすい。
「向きの情報を、大きさの情報から切り離す」
このひと手間が、多くの計算を単純にする。
単位ベクトルは、方向を指し示す"矢印の標準形"なのだ。
ポイント
- 単位ベクトル 。
- 大きさ 、向きは元と同じ。
よくある間違い
- 大きさで割るのを忘れ、 をそのまま答えてしまう。 なので、単位ベクトルではない
- 片方の成分だけを で割る。両方の成分を、同じ で割る
- を計算せずに、成分の和()で割ってしまう。割るのは大きさ