数学C / 複素数平面
3つの偏角の和
問題
の偏角をそれぞれ ()とする。積 を計算することにより、 の値を求めよ。
ヒントを見る
や は有名角ではない — 個別には諦めて、3つまとめて扱う道具は何か。積が実数(しかも負)になったら、和について何が言えるか。範囲の絞り込みまで丁寧に。
解答・解説
方針
個々の偏角は求まらない(正接が1,2,3の角)が、「積の偏角=偏角の和」なので、積を1回計算すれば和が読める。αβγ=−10(負の実数)から和は π+2kπ — あとは各角の範囲から k=0 に絞る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 は、正接が の角 — 個々の値はきれいに書けない。
だが問われているのは和だ。複素数の掛け算は「絶対値は積、偏角は和」。つまり積 を1回計算すれば、その偏角として が(2π の整数倍を除いて)読める。
積が負の実数になれば和は 。あとは各角の範囲()から を絞って確定する。
① 積を計算する。
② 偏角を読む。 は負の実数だから
③ 範囲で確定する。 で、(正接が で偏角も増える)。よって
この範囲にある は のみ。したがって
まとめ: 「求まらない角は、和にして積で測る」— 正接が の3つの角がぴったり を作る、という古典の名等式が、複素数の掛け算2回と範囲の吟味だけで証明される。偏角の の不定性を範囲で潰す最後の一歩まで書いて完答だ。
発展 — 一歩先へ。 は「方眼紙の3つの角」としても有名で、格子点だけで作った3つの直角三角形を組み合わせる図の証明もある。仲間に (こちらは )があり、円周率の計算(マチンの公式)へ続く系譜の入り口になっている。
別解
正接の加法定理で(複素数を使わない)。 だから、加法定理を2回使えば数IIの範囲で解ける。
で正接が負だから は鈍角、すなわち の形()。よって
複素数の積(本解)は、この加法定理の計算を「掛け算1回」に圧縮したものだ。実際、 の展開で起きていることは、加法定理の分子分母の計算と一字一句対応している — 「複素数の積=偏角の加法定理の機械化」という視点が腑に落ちる1問。
ポイント
- (負の実数)。
- 積の偏角=偏角の和 → 和は 。
- 範囲 から和は 。
よくある間違い
- 積の偏角から「和 」と即断する(偏角は の整数倍の任意性がある。範囲 から 和 で絞る一段が要る)。
- の展開で の符号を落とす。
- 「偏角の和=積の偏角」を使う前提(積が0でない)に触れない(小さな穴だが、除外の習慣として)。