数学C / 複素数平面

ナポレオンの定理

最難関編正三角形回転の応用

問題

三角形 の各辺を1辺とする正三角形を、三角形の外側に3つ作り、それらの重心を とする。三角形 は正三角形であることを示せ。

(頂点を表す複素数を (反時計回り)とし、 について、3点 を満たせば正三角形(または3点が一致)となることは、証明して用いてよい。)

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すべてを複素数の1次結合で書き切る — 第3頂点は回転、重心は平均。判定式に流し込むと、α, β, γ のからむ部分が共通因数として外に出て、残った「数だけの係数」が0になるかどうかの勝負になる。

解答・解説

方針

外側の正三角形の第3頂点は「辺の端点を −60°回転」で書けるので、各重心 N は α,β,γ の1次結合になる。判定式 p+ωq+ω²r=0 に代入すると、共通因数 α+ωβ+ω²γ がくくり出され、係数部分が 1+ω+ω²=0 の親戚の計算でちょうど0になる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 図形の操作を、複素数の言葉に翻訳する。「辺 AB の外側に正三角形を建てる」は「 回転して第3頂点を作る」— つまり第3頂点は 1次結合で書ける。

すると3つの重心 の1次結合になる。

正三角形の判定は、1の3乗根 を使った式 が便利だ。代入すると共通因数がくくり出され、残る係数の計算が の親戚でちょうど になる。

重要補題: なら など、差が互いに120°回転で移り合い、 は正三角形(または一致)

① 補題の証明。 から

同様に 。よって3辺の長さは等しく()、正三角形をなす(すべての差が0の場合は3点が一致)。

② 重心を1次結合で書く。 は反時計回りなので、辺 の外側の正三角形の第3頂点は のまわりに 回転した ()。重心は

巡回的に

③ 判定式に代入する。 とおくと、 に注意して

中括弧を計算する: を代入すると

よって — 補題より三角形 は正三角形である(外側に立てた場合、3中心が一致することは起こらない)。

まとめ: どんな三角形からも正三角形が生まれる、という驚きの定理が、「回転・平均・判定式」の3部品の係数計算で落ちる。共通因数 をくくり出して数だけの部分で勝負を決める — 複素数による図形証明の設計図として記憶に値する。

発展 — 一歩先へ。 ナポレオン三角形の重心は、元の三角形の重心と一致する(重心どうしの平均を計算すると に戻る)。さらに、正三角形を内側に建てた「内ナポレオン三角形」も正三角形で、外と内の面積のが元の三角形の面積に等しい、という続きも知られている。1つの定理の周りに、対称性の贈り物が積み上がっている。

証明( を係数計算で示す)

別解

回転因子で直接確かめる( を使わない判定)。 正三角形の判定式を経由せず、「1辺を 回すと隣の辺になる」を直接検算してもよい。

各重心を の1次結合で書き下ろしたら(本解の①)、2辺のベクトル

を計算し、()が成り立つことを係数比較で確かめる。回転因子 が「長さが等しく、なす角 」を一語で表すので、これ1本で正三角形が確定する。

の判定式(本解)は対称式の魔法で計算が軽く、回転因子の直接検算は「どの辺がどの辺に回るか」という図形の対応が見えたまま進む。検算を兼ねて両方で通すと、係数計算のミスがほぼ確実に捕まる。

ポイント

  • 補題: → 差が120°回転で移り合う。
  • 重心は 型の1次結合。
  • 判定式で共通因数をくくり、係数

よくある間違い

  • 「外側」の正三角形の回転の向き( か)を混ぜる(3辺とも同じ向きで統一。逆向きは内側ナポレオン)。
  • 重心を「頂点の和 ÷ 3」でなく2点の中点で計算してしまう。
  • 判定式 の割り当て(頂点の並び順=向き)を確認せずに使う。