数学C / 複素数平面

正n角形の頂点への距離の平方和

最難関編1のn乗根距離の平方

問題

を3以上の整数とし、()を1の 乗根とする。単位円上の任意の点 ()に対して、次を示せ。

ヒントを見る

を「絶対値の2乗=自分×共役」で展開すると4項に割れる。 について足したとき、生き残る項と消える項はどれか — 1の 乗根の和について知っていることは何か。

解答・解説

方針

距離の平方は共役で開く: |z−ζ|²=(z−ζ)(z̄−ζ̄)=|z|²+|ζ|²−zζ̄−z̄ζ。和をとると交差項に Σζₖ とその共役が現れ、1のn乗根の和が0であることから消える — 残るのは 2 が n 個。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 距離の平方は、複素数では共役で開くのが鉄則だ:

だから、最初の2項は合わせて

和をとると、交差項には が現れる。1の 乗根の総和は — 交差項は丸ごと消え、 個残って

公式。1の 乗根の和: ( の解と係数、)

① 展開する。

② 各部分を評価する。 より第1の和は 。また で、共役の和も 。よって交差項は消え

③ 吟味。 値が の位置によらない — 正 角形の頂点たちは、円周上のどの点から見ても「距離の平方の合計」が同じになるほど対称に配られている。なお が円上になくても同じ計算で と一般化できる。

まとめ: 「距離の平方は共役で開く」+「根の和は0」— 複素数平面の距離の問題の黄金パターン。展開 → 対称性で交差項が消える、という流れは、重心や慣性モーメントの計算にも通じる普遍的な設計だ。

発展 — 一歩先へ。 重心分解の式は統計の「分散の分解」と同一で、 の内訳( と 散らばり )まで教えてくれる。さらに同じ計算で なら — 円の半径を変えても交差項は現れない。「対称な点配置は、和の計算で交差項を殺す」という設計は、正多角形がらみの和の全部に効く。

証明( を共役で展開し、 で交差項が消える)

別解

重心で分解する(ベクトルの公式の再利用)。 平面ベクトルで学ぶ分解公式(ライプニッツの公式)を複素数で使う。 の重心を とすると、任意の点 に対して

(「点までの平方和 = 重心までの平方和 + 重心まわりの散らばり」— 統計の分散の分解と同じ式だ。)

1の 乗根の重心は (和が0)。よって

共役の展開(本解)は自己完結の計算、重心分解は「 の内訳は (点の位置)(頂点の散らばり)」という意味を教えてくれる。 に一般化すれば和は — 単位円上に限らず一瞬で読める。

ポイント

  • (単位円どうし)。
  • で交差項が消える。
  • 和は ( の位置によらない)。

よくある間違い

  • と書いてしまう(絶対値の平方は共役との積)。
  • を使う場面で、 の側の処理を忘れる。
  • 乗根の和が0であることの根拠(等比数列の和、または の係数)を書かずに流す。