数学C / 複素数平面

正三角形の対称式による特徴づけ

最難関編正三角形対称式

問題

相異なる3つの複素数 について、次を示せ。

3点 が正三角形の3頂点である

ヒントを見る

与式の両辺を2倍して移項すると、3つの「差の平方」の和にまとまらないか。実数なら平方和が0は各項0だが、複素数では違う — 和が0の3つの数の平方和が0になるとき、その3つはどんな配置か。

解答・解説

方針

等式は「差の平方和 (α−β)²+(β−γ)²+(γ−α)²=0」と同値(展開恒等式)。u=α−β などとおくと u+v+w=0 は常に成り立ち、条件は u²+v²+w²=0。2つから uv+vw+wu=0 も出て、u,v,w は t³=(定数) の3解 — 絶対値が等しい、すなわち3辺が等しい。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 頂点そのものより辺のベクトル(差)で考える。示すべき等式は、展開の恒等式

によって「差の平方和が 」と同値だ。

そこで とおく。 はいつでも成り立ち、条件は 。この2つから も出て、同じ3次方程式 の3解 — つまり絶対値が等しい。3辺の長さが等しい、が結論になる。

重要 かつ の3解(絶対値が等しい)

① 条件を差の式に直す。 上の恒等式から、与式 ⟺ 。また の平方から

なので、与式のもとで も従う。

② 3乗根の配置を読む(⟸ の証明)。 を解にもつ3次方程式は、解と係数の関係から

すなわち は同じ数 3つの3乗根。3乗根の絶対値はすべて で等しいから — 3辺の長さが等しく、 は正三角形の3頂点である( が相異なるので 、三角形は退化しない)。

③ 逆(⟹)。 正三角形なら、辺 は辺 回転したもの: として (向きが逆なら — 以下同様)。()だから

よって与式が成り立つ。

まとめ: 「差の平方和 = 0」という複素数ならではの零 — 実数では潰れる条件が、複素数では同じ長さ・120°開きという形を許す。正三角形の判定式として、回転()による定義と並ぶもう1つの顔だ。

発展 — 一歩先へ。 因数分解の2つの因子は「向き」を区別している: が一方の回り、 がもう一方の回りの正三角形。この判定式はナポレオンの定理(この単元の別問題)の証明でそのまま働く。また対称式の条件は とも書き替えられ、「重心を原点にすると 」という座標系の選び方の話にもつながる。

証明(差 に直すと条件は で、 とあわせて が同じ数の3乗根になる)

別解

因数分解して「向きつき判定式」にほどく。 対称式は、1の3乗根 因数分解できる:

(展開して を使うと確かめられる。)よって条件は

この2つの式は、それぞれ「時計回りの正三角形」「反時計回りの正三角形」の判定式にほかならない(たとえば前者は と変形でき、 は絶対値1・偏角 の回転因子 — 辺 回すと辺 になる、と言っている)。

3乗根の議論(本解)は「なぜ絶対値が揃うか」を、因数分解は「向きの情報まで込みの判定式」を与える。この判定式は次の問題(ナポレオンの定理)でそのまま主役になる — 1問で道具を鍛え、次の問題で使う連携だ。

ポイント

  • 与式 ⟺
  • と合わせて の3解 →
  • 逆は の代入で

よくある間違い

  • 複素数の「2乗の和が0」を実数の感覚で「各項が0」と誤読する(複素数では でも があり得る — だからこそ正三角形が出る)。
  • (差の和は必ず0)を書き忘れ、対称式の連立が閉じない。
  • ⟸(正三角形なら等式)と ⟹(等式なら正三角形)の両向きを示すべきところ、片向きで終える。