数学C / 複素数平面
極形式から成分へ
問題
複素数 を の形で表せ。
ヒントを見る
の と の値を思い出して、分配するだけ。
解答・解説
方針
、 の値を代入して展開する。、。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 極形式から、直交形式()に戻す問題だ。
やることは単純。 と の値を代入して、展開するだけ。
の三角比を、正確に思い出そう。
( は第 象限。 は負、 は正。)
代入する。
答えは 。
符号の確認をしよう。
実部が負()、虚部が正()。 つまり、点は第 象限にある。
偏角 は第 象限の角 — 一致している ✓
「符号が、象限と合っているか」 — この確認を、必ず入れる。
の符号を間違えると、点が別の象限に飛んでしまう。
、 を代入する。
まとめ:極形式 → は「三角比の値を代入して展開」。、 の値を正確に。 をかけて分配すると 。極形式と成分表示は行き来できる。
発展 — 一歩先へ。 の つの解が、正三角形をなす。
この事実を、一般化しよう。
方程式 の解を、 の 乗根という。
個の解が、単位円周を 等分する。
正 角形の頂点だ。
のとき、 つの解を 、、 と書く。
この には、美しい性質がある。
つ目の式は、なぜ成り立つのか。
を因数分解する。
なので、 は つ目の因数の解。
幾何的には、こう見える。
正三角形の 頂点を表すベクトルを足すと、 になる。
( つの方向が、 ずつ均等なので、打ち消し合う。)
「対称に配置されたものを全部足すと、」
この原理は、あらゆる場面で使われる。
の 乗根についても同じだ。
正 角形の頂点ベクトルの和は、。
この性質が、離散フーリエ変換の基礎になる。
信号を 個のサンプルに分けて、それぞれに の 乗根を掛けて足し上げる。
すると、周波数成分が取り出せる。
なぜ取り出せるのか。 「関係ない周波数の成分は、 の 乗根の和として になって消える」からだ。
この計算を高速化したのが、高速フーリエ変換(FFT)。
年に発表され、 世紀最重要のアルゴリズムの つと呼ばれる。
あなたのスマホは、音声を、画像を、通信を — すべて FFT で処理している。
その根っこにあるのが、「 の 乗根が正 角形をなす」という、この単純な事実だ。
この、三角比を代入するだけの計算。
その答えが、正三角形の 頂点であり、 の 乗根であり、そして現代の信号処理を支える構造の一部なのである。
別解
単位円の図から、 の座標を読む。
三角比の値を暗記するのではなく、図から読み取る方法だ。
半径 の単位円を描く。
の方向に、点を打つ。
この点の座標が、 である。
は、 から 戻った位置だ。
だから、 の点を、 軸で折り返した位置にある。
の点の座標は
( の直角三角形から。)
軸で折り返すと、 座標の符号が変わる。
これが の点だ。
図から読み取れた。
あとは、絶対値 を掛ける。
本解と同じ ✓
この「単位円から読む」方法の利点。
符号を間違えない。
は左上(、)。 だから、 は負、 は正。図を見れば一目瞭然だ。
丸暗記だと、 などと符号を落としがちである。
さて、この には、面白い性質がある。
乗してみよう。
ド・モアブルを使う。
!
つまり、 は「 の 乗根」の つなのだ。
方程式 の解は、 個ある。
実数解は だけ。 だが、複素数まで含めれば、 個の解がある。
この 点を、複素数平面に打つと?
すべて、原点からの距離が 。
そして、偏角は 、、 — ずつ等間隔だ。
半径 の円周を、 等分している。
点を結ぶと、正三角形になる!
「 乗根は、円周を 等分する」
代数方程式の解が、正多角形の頂点として現れる。
この、代数と幾何の美しい対応が、複素数平面の最大の見どころである。
ポイント
- 三角比の値を代入して展開。
- 、。
よくある間違い
- の符号を落として としてしまう。 は第 象限なので は負()
- を負にしてしまう。第 象限では は正()
- 絶対値 を掛け忘れ、 で終える。 倍して