数学C / 複素数平面

複素数の和

★ 基礎

問題

のとき、 を求めよ。

ヒントを見る

実部どうし・虚部どうしを足すだけ。

解答・解説

方針

実部どうし・虚部どうしを足す。複素数の和はベクトルの和と同じ。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 複素数の足し算は、実部どうし、虚部どうしを足す。

同類項をまとめるだけ。 文字式の計算と同じだ。

を文字だと思えば

簡単である。

この計算を、複素数平面で見ると?

と点 を足して、点 を得る。

これは、ベクトルの和とまったく同じ操作だ。

図では、平行四辺形の対角線。あるいは、矢印を継ぎ足したもの。

「複素数の足し算 ベクトルの足し算」

足し算に関しては、複素数はベクトルと何も変わらない。

違いが出るのは、掛け算のときだけである。

公式複素数の和

実部どうし・虚部どうしを足す。

ReImOz₁z₂z₁+z₂
複素数の和は矢印の和(平行四辺形)。z₁+z₂=4+i

まとめ:複素数の和は「実部どうし、虚部どうし」を足すだけ。複素数平面ではベクトルの和(平行四辺形)と同じ。積(拡大 + 回転)とちがい、和は単純な移動だ。

発展 — 一歩先へ。 複素数とベクトル。同じに見えて、決定的な違いがある。

共通点。

  • 足し算: 成分ごとに足す ✓ 同じ
  • 実数倍: 成分ごとに掛ける ✓ 同じ
  • 大きさ: ✓ 同じ

では、違いは?

複素数には、「掛け算」がある。

複素数 複素数 複素数。

ベクトルには、これがない。

  • 内積 → 結果は(ベクトルでない)
  • 外積 次元でしか定義できない

つのベクトルを掛けて、また同じ空間のベクトルを得る」という演算が、ベクトルには存在しないのだ。

そして、「割り算」もある。

ベクトルの割り算は、定義できない。

この「四則演算が全部できる」という性質を、体という。

複素数は体である。 ベクトルは体ではない。

だから、複素数は"数"なのだ。

そして、ここに驚くべき定理がある。

フロベニウスの定理。

「実数を含み、四則演算が定義できる体系(有限次元)は、実数・複素数・四元数の つしかない。」

次元では、複素数だけ。

次元では?存在しない。

( 次元で"掛け算"を定義しようとしたハミルトンは、 年悩んだ末、 次元なら可能だと気づいた。それが四元数だ。)

次元では、四元数。ただし、交換法則が成り立たない()。

次元では、八元数。結合法則も成り立たない。

次元以上では、もう何も残らない。

「掛け算ができる空間」は、 次元しかないのだ。

なぜ、この つだけなのか。

その理由は、トポロジー(位相幾何学)の深い定理から来ている( 年に証明された)。

代数の問題が、幾何の定理で解かれる。

我々が「複素数」という 次元の数を持てているのは、 が、この特別な つの数のうちの つだからである。

この足し算は、ベクトルと同じ。

だが、この つを"掛けられる"ということ。

そこに、複素数が"数"であることの、すべてが懸かっている。

別解

足し算をベクトルとして見て、その先の"引き算"まで押さえる。

複素数の足し算は、平行四辺形の対角線だった。

では、引き算は?

この は、何を表すのか。

から、点 へ向かうベクトルだ。

確かめよう。

と一致 ✓

「終点 始点」 — ベクトルの引き算と、まったく同じ。

この事実から、複素数平面の重要な公式が出る。

点間の距離。

この 点は、 だけ離れている。

さらに、この「差」の発想が、図形の条件式を生む。

が、点 から距離 にある」

これは、中心 、半径 の方程式だ!

が、 から等距離にある」

これは、線分 の垂直二等分線である。

複素数 文字で、円や直線が書けてしまう。

座標だと 文字()必要だったのに。

左の式は 変数、右の式は 変数。

この簡潔さが、複素数で図形を扱う最大のメリットだ。

そして、和と差の対比。

「足すと、対角線。引くと、向き。」

この つを掴んでおけば、複素数平面の図形問題は、ぐっと見通しがよくなる。

そして、 という"商"を考えると、角度が出てくる。

( つのベクトルの比 — 偏角が、なす角になる。)

この形が、「 点が一直線上」「 直線が垂直」といった条件を、 行で書く鍵になる。

足し算という、いちばん基本の演算。

その意味を「ベクトル」として掴むことが、複素数平面のすべての出発点になる。

ポイント

  • 実部・虚部それぞれ足す。
  • 複素数平面ではベクトルの和。

よくある間違い

  • 虚部の計算 で、マイナスを見落として としてしまう
  • 実部と虚部を混ぜて足してしまう。実部は実部、虚部は虚部で足す
  • の絶対値を だと思う。 で、 とは違う