数学C / 複素数平面
複素数の和
問題
、 のとき、 を求めよ。
ヒントを見る
実部どうし・虚部どうしを足すだけ。
解答・解説
方針
実部どうし・虚部どうしを足す。複素数の和はベクトルの和と同じ。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 複素数の足し算は、実部どうし、虚部どうしを足す。
同類項をまとめるだけ。 文字式の計算と同じだ。
を文字だと思えば
簡単である。
この計算を、複素数平面で見ると?
点 と点 を足して、点 を得る。
これは、ベクトルの和とまったく同じ操作だ。
図では、平行四辺形の対角線。あるいは、矢印を継ぎ足したもの。
「複素数の足し算 ベクトルの足し算」
足し算に関しては、複素数はベクトルと何も変わらない。
違いが出るのは、掛け算のときだけである。
実部どうし・虚部どうしを足す。
まとめ:複素数の和は「実部どうし、虚部どうし」を足すだけ。複素数平面ではベクトルの和(平行四辺形)と同じ。積(拡大 + 回転)とちがい、和は単純な移動だ。
発展 — 一歩先へ。 複素数とベクトル。同じに見えて、決定的な違いがある。
共通点。
- 足し算: 成分ごとに足す ✓ 同じ
- 実数倍: 成分ごとに掛ける ✓ 同じ
- 大きさ: ✓ 同じ
では、違いは?
複素数には、「掛け算」がある。
複素数 複素数 複素数。
ベクトルには、これがない。
- 内積 → 結果は数(ベクトルでない)
- 外積 → 次元でしか定義できない
「 つのベクトルを掛けて、また同じ空間のベクトルを得る」という演算が、ベクトルには存在しないのだ。
そして、「割り算」もある。
ベクトルの割り算は、定義できない。
この「四則演算が全部できる」という性質を、体という。
複素数は体である。 ベクトルは体ではない。
だから、複素数は"数"なのだ。
そして、ここに驚くべき定理がある。
フロベニウスの定理。
「実数を含み、四則演算が定義できる体系(有限次元)は、実数・複素数・四元数の つしかない。」
次元では、複素数だけ。
次元では? — 存在しない。
( 次元で"掛け算"を定義しようとしたハミルトンは、 年悩んだ末、 次元なら可能だと気づいた。それが四元数だ。)
次元では、四元数。ただし、交換法則が成り立たない()。
次元では、八元数。結合法則も成り立たない。
次元以上では、もう何も残らない。
「掛け算ができる空間」は、、、、 次元しかないのだ。
なぜ、この つだけなのか。
その理由は、トポロジー(位相幾何学)の深い定理から来ている( 年に証明された)。
代数の問題が、幾何の定理で解かれる。
我々が「複素数」という 次元の数を持てているのは、 が、この特別な つの数のうちの つだからである。
この足し算は、ベクトルと同じ。
だが、この つを"掛けられる"ということ。
そこに、複素数が"数"であることの、すべてが懸かっている。
別解
足し算をベクトルとして見て、その先の"引き算"まで押さえる。
複素数の足し算は、平行四辺形の対角線だった。
では、引き算は?
この は、何を表すのか。
点 から、点 へ向かうベクトルだ。
確かめよう。 、。
と一致 ✓
「終点 始点」 — ベクトルの引き算と、まったく同じ。
この事実から、複素数平面の重要な公式が出る。
点間の距離。
この 点は、 だけ離れている。
さらに、この「差」の発想が、図形の条件式を生む。
「 が、点 から距離 にある」
これは、中心 、半径 の円の方程式だ!
「 が、 と から等距離にある」
これは、線分 の垂直二等分線である。
複素数 文字で、円や直線が書けてしまう。
座標だと 文字(、)必要だったのに。
左の式は 変数、右の式は 変数。
この簡潔さが、複素数で図形を扱う最大のメリットだ。
そして、和と差の対比。
「足すと、対角線。引くと、向き。」
この つを掴んでおけば、複素数平面の図形問題は、ぐっと見通しがよくなる。
そして、 という"商"を考えると、角度が出てくる。
( つのベクトルの比 — 偏角が、なす角になる。)
この形が、「 点が一直線上」「 直線が垂直」といった条件を、 行で書く鍵になる。
足し算という、いちばん基本の演算。
その意味を「ベクトル」として掴むことが、複素数平面のすべての出発点になる。
ポイント
- 実部・虚部それぞれ足す。
- 複素数平面ではベクトルの和。
よくある間違い
- 虚部の計算 で、マイナスを見落として としてしまう
- 実部と虚部を混ぜて足してしまう。実部は実部、虚部は虚部で足す
- の絶対値を だと思う。 で、 とは違う