数学A / 整数の性質

余りによる整数の分類

★ 基礎余りによる分類

問題

整数 で割った余りに着目して、 で割った余りとしてありえるものをすべて求めよ。

ヒントを見る

整数を『 で割った余り』で グループ()に分ける。各グループを と文字で表し、 を計算して で割った余りを見よう。

解答・解説

方針

整数は無限にあるが、『 で割った余り』で分ければ 種類だけ。各グループの代表で の余りを調べれば、すべての整数を調べたことになる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 はどんな整数でもよい」— 無限にある整数を、どうやって全部調べるのか

答えは余りで仲間分けすること。 で割った余りは 種類しかない。だから整数は

グループに完全に分かれる。無限個の整数が、たった 通りに畳み込まれた。

あとはこの 通りそれぞれについて を計算し、 で割った余りを調べればよい。

通りとも調べること。 つでも飛ばせば「すべての整数について」の証明にならない。余りによる分類は、無限を有限にする技である。

重要整数は余りで分類: で割ると のどれか

整数 は、 で割った余りによって 種類に分けられる。( は整数)のどれかだ。それぞれで を計算して、 で割った余りを調べる。

のとき:。余りは

のとき:。余りは

のとき:。余りは

どの場合も余りは で、 にはならない。

まとめ:この『余りで分けて調べる』方法は、整数の証明の強力な道具になる。たとえば『 は平方数にならない』も、この結果から言える(平方数の余りは なのに、 は余り だからだ)。

発展 — 一歩先へ。 同じ発想を でやってみよう。整数は だから

平方数を で割った余りは だけ。

ここから、たちどころに次が分かる。 つの平方数の和 で割った余りは

通りしかない。 にはならない。

だから には整数解がない( で割ると 余る)。無限個の数を、一撃で否定した。

このように「どの数で割って見るか( を何にするか)」を選ぶセンスが、整数問題の腕の見せどころだ。 — 平方数、立方数、素数の性質に応じて、有効な法(modulus)が変わる。

大学入試の整数問題で「解が存在しないことを示せ」と言われたら、まず適当な数で割ってみる 割はこれで片がつく。余りの世界は、不可能を証明するための舞台なのだ。

で割った余りは または ( にはならない)

別解

合同式という記号を使うと、この証明が数行で終わる。しかも、そこから面白い応用が生まれる。

合同式の書き方。 で割った余りが のとき

と書く。「」は「割った余りで見る」という意味だ。

この記号のすごいところは、足し算・掛け算がそのままできること。

だから、 なら が言える。 通りの について を計算するだけでよい。

つで証明が終わった。 で割った余りは だけ。 は絶対に出てこない。

と展開する必要すらない( の倍数なので消え、 が残る — 合同式はこの計算を自動でやってくれる)。

さて、この結論は何の役に立つのか。

で割って 余る数は、絶対に平方数ではない」 — これが使える。

たとえば、こう問われたとしよう。「 は平方数か?」

わざわざ平方根を計算しなくてよい。 の各位の和は なので、 で割った余りは

平方数の余りは しかない。だから は平方数ではない — 証明終わり。(ちなみに で、惜しくも 違いだった。)

この手口は「不可能の証明」に絶大な威力を発揮する。

  • を満たす整数はあるか? → で考えると存在しないと分かる
  • ある方程式に整数解はあるか? → 適当な数で割った余りを見て、矛盾を探す

「実際に探して見つからない」ことと「存在しないと証明する」ことは、天と地ほど違う。 前者は永遠に終わらないが、後者は余りの表 つで片づく。

余りの世界は狭い(たった 通り)。だからこそ、そこで矛盾を見つければ、無限の世界の話に決着がつく。 整数論の最も鮮やかな武器である。

ポイント

  • 整数は『 で割った余り』で 種類に分けられる
  • の3通りを調べれば全整数を尽くせる
  • 平方数を で割った余りは (証明の道具になる)

よくある間違い

  • のときだけ調べて済ませる(3通りとも必要)
  • の展開で の項を落とす
  • 「余りは 0 か 1」を「 は 3 の倍数か 1」と読み違える(余りが 1 の数は 3 の倍数ではない)