数学III / 積分法の応用

曲線の長さ(懸垂線)

★★★ 応用曲線の長さ

問題

曲線 ()の長さを求めよ。

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長さの公式の中身 を計算すると、完全平方の形にまとまる — この曲線(懸垂線)の美しさが現れる瞬間。根号が外れれば積分は基本形。

解答・解説

方針

が完全平方 になり、根号がきれいに外れる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 曲線の長さは で求まる。

ふつうは根号が残って積分しにくい。だがこの曲線(懸垂線) では事情が違う。

を計算すると、ちょうど完全平方 になる。だから根号がきれいに外れる。

まず を求め、 乗の形になることを確かめる。そこが急所だ。

公式曲線の長さ

を求める。

② 根号を外す。 中身が完全平方なので

③ 積分する。

xyO1
y=(eˣ+e^{−x})/2(懸垂線)の 0≤x≤1 の弧

まとめ:この曲線(懸垂線)は、 が完全平方 になるよう作られている。根号がきれいに外れ、。曲線の長さ問題は「根号が外れる形」がほとんどだ。

発展 — 一歩先へ。 この曲線は懸垂線(カテナリー)と呼ばれ、両端を留めた鎖やロープが自分の重みで垂れ下がるときの形だ。かつては放物線と思われていたが、放物線ではない。ガリレオは放物線と考え、のちにホイヘンスやベルヌーイらが正体を突きとめた。

一般には と書ける。 は垂れ具合を決める定数で、大きいほど浅く、小さいほど深く垂れる。この一般形でも は完全平方になり、 から までの弧長は ときれいにまとまる。

見た目のよく似た放物線とは、微妙だが本質的に違う。鎖が「いちばん楽な垂れ方」を自然に選ぶと、放物線ではなくこの の形になる。数学と物理が交わる美しい例だ。

(すなわち )

別解

別解 — 折れ線で長さを近似して確かめる(苦手な人向けの実験ルート)。 「曲線の長さ」がそもそも何かを、折れ線でなぞって体感してみる。区間を細かく割り、各区間を線分で結んで長さを足すと、本当の弧長に近づく。

区間 を半分に割り、 点をとる。 の値は でおよそ

つの線分の長さを三平方で出す。。足すと約

分割をもっと細かくすると、この折れ線の総和は にじわじわ近づく。折れ線は弧より少し短いので、下から近づくのが自然だ。公式で根号を外して出す本解の値と、ちゃんと一致する。

ポイント

  • が完全平方になる。
  • 懸垂線 の長さ。

よくある間違い

  • が完全平方になることに気づかず、根号の中を展開したまま積分しようとして手が止まる。
  • の中央の を落とし、 にまとめ損ねる。
  • 根号が外れた後の で、 の積分の符号を誤る。