数学III / 微分法の応用

曲線 y=eˣ と直線 y=x の最短距離

最難関編最大最小距離

問題

曲線 上の点と直線 の距離の最小値を求めよ。

ヒントを見る

曲線上の点をパラメータで書いて、点と直線の距離の公式に乗せる — 距離の最小化は、分子の関数の最小化に置き換わる。最小になる点で、曲線の接線と相手の直線はどんな関係にあるはずか。

解答・解説

方針

曲線上の点 (t, eᵗ) と直線 x−y=0 の距離は |eᵗ−t|/√2。距離の最小化が g(t)=eᵗ−t の最小化に翻訳され、g'=eᵗ−1=0 から t=0、最小値 g(0)=1。同時に eᵗ>t(曲線が直線の上側)も確定する。最近点では接線が直線と平行になることも確かめられる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 曲線上の点を とパラメータ表示し、点と直線の距離の公式に乗せる。距離は 距離の最小化が、1変数関数 の最小化に翻訳された。

の最小値が正なら、絶対値も自動的に外れる(曲線が直線と交わらないことの証明を兼ねる)。

幾何の直感では「最も近い点では、接線が相手の直線と平行」。微分の答えと最後に照合できる。

公式 と直線 の距離

① 距離を関数にする。 曲線上の点 と直線 の距離は

の最小。

で負、 で正だから で最小となり、最小値は 。とくに常に 、つまり — 曲線は直線の上側にあり、絶対値はそのまま外れる。

③ 最小距離。

等号は 、すなわち曲線上の点 のとき。このとき接線の傾きは で直線 と平行 — 「最近点では接線が相手と平行」という幾何の感覚とも一致する。

xyO(0, 1)√2/2y=x
y=eˣ(青)と y=x(黒)。最短距離を与えるのは点 (0,1)(赤)で、そこでの接線の傾きは 1 — 直線と平行になる瞬間

まとめ: 「距離の最小化 → 差の関数の最小化」への翻訳が全て。1回の微分で、最小距離・最近点・「曲線と直線が交わらない」ことの3つが同時に手に入る経済的な構図で、答えの検算(接線の平行)まで幾何が用意してくれている。

発展 — 一歩先へ。 (互いに逆関数)は直線 について鏡映だから、両者の最短距離は「 の最短距離の2倍」、すなわち になる(最近点は )。逆関数のペアの間の距離は、鏡 を経由して測る — 対称性が計算を半分にしてくれる。

(曲線上の点 のとき)

別解

平行条件で先に当てて、凸性で確定する(幾何が主役)。 最短距離の点では、曲線の接線が相手の直線と平行になるはずだ(平行でなければ、接線に沿って少し動くと直線に近づけてしまう)。

この必要条件から先に点を特定する:

候補は点 のみ。距離は

これが本当に最小であることは、距離関数 ( の最小値1から)が

下に凸、極値は の1つだけ、から確定する(凸関数の唯一の停留点は最小)。

本解は「距離関数を作って最小化」という万能の直進ルート、本ルートは「幾何の必要条件で候補を1点に絞ってから確定」という狙撃ルート。候補が先に見えると、計算量は半分になる。

ポイント

  • 距離 (点と直線の距離)。
  • で最小1(同時に も確定)。
  • 最小距離 、最近点 では接線が と平行。

よくある間違い

  • 点と直線の距離の分母 を落として答えを とする。
  • 絶対値 を外す根拠( の最小値が )を言わない。
  • 「接線が平行」を十分条件のように使い、最小であることの確定(増減表か凸性)を怠る。