数学III / 微分法の計算

積の微分

★ 基礎積の微分

問題

関数 を微分せよ。

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積の形の微分には専用の規則がある。展開してから項別に微分しても答えは同じ — 両方やって一致を確かめると、規則の練習になる。

解答・解説

方針

積の微分公式 を使う。 として、それぞれの導関数を組み合わせる。(展開してから微分しても同じ。)

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 つの式の掛け算だ。どう微分するか、道は つある。

  • 展開してから、 項ずつ微分する
  • 積の微分公式を使う

この問題は展開できるので、どちらでも解ける。

それでも、あえて公式で解く。

なぜか。 これから出てくる積は、展開できないものばかりだからだ。

こうした積は、展開しようがない。 積の微分公式が使えなければ、手も足も出ない。

「どちらが で、どちらが か」を決めて、機械的に当てはめる。

展開できる問題で公式に慣れておく — それが、この問題の本当の役目である。

公式積の微分

とする。

展開して整理する。

まとめ:積の微分は「片方を微分 × もう片方 + そのまま × もう片方を微分」。 項の和になる。多項式なら展開して微分しても同じ結果になるので、検算に使える。

発展 — 一歩先へ。 積の微分を、何回も繰り返すとどうなるか。

を計算してみよう。

もう 回微分する。 各項に、また積の微分を使う。

係数が になった。

回微分すると?

係数は

この数の並びに、見覚えがあるはずだ。

パスカルの三角形 — 二項係数である。

まったく同じ係数が現れる。

一般に、こう書ける。

ライプニッツの公式という。

二項定理 と、瓜二つだ。

なぜ、こんな一致が起こるのか。

微分を 回するたびに、「 を微分するか、 を微分するか」の 択が生じる。 回微分すれば、 通りの選び方がある。

そのうち「 回、 回」微分するものが 通り。

これは「 個の から、 個、 個選ぶ」のと、まったく同じ数え上げである。

微分と、展開。 まるで無関係に見える つの操作が、同じ組み合わせの構造をもっている。

この公式は、実用的でもある。

回微分せよ、と言われたら。

素直にやると、地獄だ。 だが、ライプニッツの公式なら

回微分すると になるので、 項で終わる。

回の微分が、 行で片づいた。

「組み合わせの構造」を見抜くと、計算が消える。 数学のあちこちで、この快感に出会う。

別解

展開してから微分する。そして、公式の"意味"を考える。

まず、素直に展開しよう。

あとは、 項ずつ微分するだけ。

公式を使った答えと、一致する ✓

この方法の価値は、検算にある。

積の微分公式は、符号や項を間違えやすい。 展開できる問題なら、展開ルートで検算できる。

では、なぜ という形なのか。

面積で考えると、腑に落ちる。

、横 の長方形を想像しよう。 面積は である。

時間が少し( だけ)進むと、縦も横も少し伸びる。

  • 縦が 伸びる → 面積が 増える(下に横長の帯が追加)
  • 横が 伸びる → 面積が 増える(右に縦長の帯が追加)
  • 角の小さな長方形 も増えるが、これは極めて小さい( つの微小量の積)

だから、面積の増加は

両辺を で割って、 とすると

公式の 項は、「縦が伸びた分」と「横が伸びた分」だったのだ。

角の小さな長方形が無視できるのは、 が「小さい 小さい」= 極めて小さいから。 極限をとると、完全に消える。

この見方から、 ではない理由も分かる。

縦だけ伸ばしても、横だけ伸ばしても、面積は増える。 両方の寄与を足さなければならない。

つの変化が、それぞれ独立に効く」 — これが積の微分の心である。

つの積なら?

つずつ微分して、残りはそのまま」を、 通り足す。 直方体の つの面が伸びる、と思えばよい。

ポイント

  • 「微分 × そのまま」を 通り足す。

よくある間違い

  • としてしまう(それぞれを微分して掛ける)。積の微分は 項の和になる
  • 項目で、 をうっかり にしてしまう。各項で微分するのは片方だけ
  • 展開ルートで検算するとき、展開そのものを間違える。 の展開は 項すべてを丁寧に出す