数学II / 図形と方程式

点と直線の距離

★ 基礎点と直線の距離

問題

と直線 の距離を求めよ。

ヒントを見る

点と直線の距離の公式を使う。使う前に直線の式を『』の形に整えておくこと、分子に絶対値がつくことの 点に注意。

解答・解説

方針

点と直線の距離の公式にそのまま代入する。分子は直線の式に点の座標を入れた絶対値、分母は係数の2乗和のルート。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 点と直線の距離には、公式がある

使う前に、直線を の形(一般形)にしておく。 今回は最初からその形だ。

分子: 点の座標を、直線の式に代入して絶対値。

分母: 係数の 乗和の平方根。

分子の絶対値を忘れない。 距離は必ず正だから、 のままにしてはいけない。

公式 と直線 の距離

① 公式の意味を一言で。 直線 にとって は直線と垂直な向き(法線)。 は点が直線からどれだけ離れているかに比例した量で、それを法線の長さ で割ると、ちょうど点から直線へ下ろした垂線の長さ(=距離)になる。だから分母に が要る。

② 当てはめる。 、点

xyO(2,3)1
点(2,3)から直線への垂線の長さが距離1

まとめ:点と直線の距離は「垂線の長さ」。分子 を法線の大きさ で割ると、その垂線の長さになる、という仕組みだ。

発展 — 一歩先へ。 点と直線の距離の公式は、「絶対値」を外すと符号がつく

この符号つきの量を「符号つき距離」といい、点が直線のどちら側にあるかを教えてくれる。

  • → 直線の一方の側
  • → 直線上
  • → もう一方の側

この性質が、領域の問題(数IIの「軌跡と領域」)の土台になる。 という不等式が「直線の片側」を表すのは、まさにこの符号のおかげだ。

そして、機械学習の分類器も、この符号で動いている。

「メールがスパムか否か」「画像が猫か犬か」を判定する最も基本的な手法(サポートベクターマシン)は、データ点を空間に配置し、直線(高次元では超平面)で つに切り分ける

そして「どの直線が最良か」を決める基準が、まさに"点と直線の距離"だ。 両クラスから最も遠い(マージンが最大の)直線を選ぶ — この最適化が、SVM の核心である。

高校で学ぶ が、そのまま人工知能の中で動いている。

「点と直線の距離」は、単なる計算問題ではない。 「データをどう分けるか」という現代的な問いに、直接つながっている。

別解

公式を使わず、垂線の足を実際に求めて距離を測る。 遠回りだが、公式の意味が分かるし、「垂線の足の座標」自体を聞かれたときにも使える。

手順1: 垂線の方程式を作る。

直線 の傾きは ( と変形すれば分かる)。

垂直な直線の傾きは これが点 を通る。

手順2: 交点(垂線の足 )を求める。

式を連立して解く。 を、元の直線に代入すると

倍して整理すると

垂線の足は

手順3: 点間の距離を計算する。

公式と同じ答えが出た。

手間を比べてほしい。 公式なら 秒、垂線ルートなら 分。公式のありがたみが身にしみる。

しかし、垂線ルートにしかできないこともある。

  • 垂線の足の座標そのものを聞かれたとき()
  • 対称点を求めるとき(点 の対称点 は、 を中点とする点だから )
  • 直線への正射影を考えるとき

公式は「距離」だけを教えてくれる。垂線ルートは「どこに落ちるか」まで教えてくれる。

そして、公式の意味も見えてくる。 分子 は「点を代入したときの、式のズレ具合」だ。直線上の点なら 、離れるほど大きくなる。

分母 は、そのズレを「実際の距離」に換算するための係数である( は同じ直線だが、代入値は 倍になる — だから係数の大きさで割って、正規化する必要がある)。

「式の値のズレ」を「幾何的な距離」に翻訳する装置 — それが点と直線の距離の公式だ。

ポイント

  • 距離公式の分子は『直線の式に点を代入した値の絶対値』。
  • 分母は の係数の2乗和のルート。

よくある間違い

  • 分子の絶対値を忘れて、負の距離が出てしまう
  • 直線を の形に直さずに公式へ入れる( のままでは使えない)
  • 分母を にしてしまう(正しくは )