数学II / 指数関数・対数関数
常用対数と桁数
問題
は何桁の数か。ただし とする。
ヒントを見る
桁数と常用対数の関係を思い出そう(たとえば 桁の数の は 台)。まず を、与えられた値で計算するところから。
解答・解説
方針
正の数 の桁数は ( は整数部分)。 を計算して整数部分を見る。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 は、まともに計算すると大変な数だ。しかし「桁数」だけなら、常用対数で分かる。
桁数と常用対数の関係。
各辺の をとる。
「 の整数部分に を足すと、桁数」 — これが公式だ。
計算する。
整数部分は 。 だから桁数は
巨大な数の桁数が、掛け算 回で分かった。
① を計算する。 指数は前に出せる。
② 整数部分に を足す。 なので
よって は 桁の数。
まとめ:桁数は「 をとって整数部分 」。 が なら、 は 台(10桁)という意味だ。
発展 — 一歩先へ。 対数の小数部分が「最高位の数字」を決める — この事実から、驚くべき法則が導かれる。
ベンフォードの法則。
「自然界のデータの最高位の数字は、 が最も多く、 が最も少ない」
| 最高位 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 出現率 |
「どの数字も ずつ」ではない。 で始まる数が、 で始まる数の 倍以上も多いのだ。
なぜか。対数の目盛で考える。
の目盛の上で、「 で始まる数()」が占める幅は
「 で始まる数()」の幅は
対数目盛の上では、 の領域が の領域より 倍以上広い!
「数が対数的に分布している」なら、最高位の数字は に偏る — これがベンフォードの法則の正体だ。
この法則は、驚くほど広く成り立つ。
- 国の人口、川の長さ、株価、物理定数、住所の番地、SNS のフォロワー数 — すべて で始まる数が最多
そして、実用的な応用がある。だ。
人間が数字を"でっち上げる"と、各数字を均等に使ってしまう。 しかし本物のデータは、ベンフォードの法則に従う。
この"ずれ"を検出すれば、粉飾決算や選挙の不正が見抜ける — 実際に、会計監査や選挙監視で使われている手法である。
エンロン事件の会計データも、この法則からのずれで疑われた。
という小さな数値の背後に、自然界の数の分布を支配する法則が横たわっている。
対数を学ぶとは、数の"住んでいる世界"を学ぶことなのだ。
桁
別解
本当に 桁か、実際に計算して確かめよう。 そして、桁数だけでなく「最高位の数字」まで分かるという、対数の隠れた威力を見せる。
答え合わせ: を実際に計算する。
数えてみる。 — , , , , , , , , , 桁 ✓
確かに 桁だった。 対数の予言は、正確である。
さて、ここからが面白い。 の"小数部分"は、何を意味するのか。
を、整数部分と小数部分に分ける。
は「 の後に が 個」— 桁を決める部分。
は? 、 だから、 と のあいだの数だ。
したがって
最高位の数字は !
実際の値 を見ると — 先頭は ✓ ぴったり当たっている。
の小数部分が、"数字の並び"を決めている。
これは驚くべきことだ。 という 桁の数を計算しなくても、 桁で から始まる数だと分かってしまう。
この技は、天文学的な数を扱うときに絶大な威力を発揮する。
例: は何桁で、最高位は何か?
桁(整数部 に を足す)。
小数部分は 付近 → → 最高位は 。
実際、 は と始まる 桁の数だ ✓
桁の数を、 度も計算せずに、その正体を言い当てた。
「桁数を求めよ」という問題の本質。 それは「巨大な数を、計算せずに把握する技術」である。
天文学者が銀河の星の数を、物理学者が宇宙の原子の数を、暗号技術者が鍵の総数を扱えるのは、この技術のおかげだ。
という、たった 桁の数値。 それが 桁の巨大数の姿を、完全に描き出す。対数は、数を"圧縮"する魔法なのだ。
ポイント
- 桁数 。
- は が 、つまり10桁。
よくある間違い
- 整数部分に を足すのを忘れて「9桁」としてしまう
- を などと誤って変形する(指数は前に出して )
- の計算を間違える(掛け算のミスが命取り)