数学II / 指数関数・対数関数

対数関数のグラフ

★ 基礎対数関数のグラフ

問題

関数 について、定義域を答えよ。また、増加関数か減少関数かを答えよ。

ヒントを見る

対数に入れられる数(真数)には制限があった。それがそのまま定義域になる。増加か減少かは、底と の大小で決まる。

解答・解説

方針

()のグラフの形を思い出す。真数 は正でなければならず、 なので右上がり(増加)。 を通る。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 この関数は、 の逆関数である。

逆関数の性質から、答えが読める。

元の関数 :

  • 定義域: 実数全体
  • 値域:

逆関数 では、定義域と値域が入れかわる。

  • 定義域: (元の値域)
  • 値域: 実数全体(元の定義域)

「真数は正でなければならない」 — これが定義域 の正体だ。 を何乗しても正の数にしかならないのだから、負の数や の対数は存在しない。

増減も、逆関数に引き継がれる。

が増加関数なら、その逆関数 増加関数

( で折り返しても、"右上がり"は"右上がり"のまま。)

公式():定義域 、増加関数、点 を通る

の対数関数。

  • 定義域:対数は真数が正のときだけ定義される。よって
  • 増減: なので が増えると も増える。増加関数
  • なので点 を通る。
xyO(1,0)
y=log_2 x:定義域 x>0、増加、(1,0)を通る

発展 — 一歩先へ。 指数関数と対数関数の「増え方」を比べると、天と地ほどの差がある。

宇宙の原子数を超える

指数は爆発し、対数は這うように増える。

万になっても、 はたった これほど遅い増加は、他にない。

この「遅さ」が、コンピュータ科学では"速さ"を意味する。

アルゴリズムの計算量を考えよう。 個のデータから、目的のものを探す。

  • 線形探索( つずつ調べる): 回 — 万個なら 万回
  • 二分探索(半分に絞り込む): 回 — 万個でも、たった

万回 vs 回。 この差は、 時間かかる処理が 秒で終わるほどの違いだ。

二分探索とは。 辞書で単語を引くときの動作そのものである。まん中を開いて、目的の語が前か後ろかを判断し、半分を捨てる。 これを繰り返す。

回で になる( 万)。

「半分ずつ捨てる」→「 回で終わる」 — これがアルゴリズム設計の黄金律だ。

データベースの検索、ソート、ファイルシステム、GPS の経路探索 — 高速なアルゴリズムのほとんどが、 の計算量を達成することを目標にしている。

で済む」は、コンピュータ科学における最高の褒め言葉のひとつである。

対数関数の"遅さ"が、現代の情報技術の"速さ"を作っている。 数学の性質は、思わぬところで価値に変わる。

定義域:、増加関数

別解

「逆関数」という関係を、グラフで完全に理解しよう。 つの関数が、 枚の鏡で結ばれている。

値の表を、 つ並べる。

:

:

が、そっくり入れかわっている!

座標を入れかえた点 — それは直線 に関する対称点である(座標の対称移動で学んだ通り)。

この 枚の鏡が、すべてを説明する。

鏡を通ると
定義域: 実数全体 値域: 実数全体
値域: 定義域:
軸が漸近線 軸が漸近線
を通る を通る
増加関数 増加関数

「対称に映すと、 の役割が入れかわる」 — それだけのことだ。

軸が漸近線になる、という性質を確かめよう。

に近づけると

どこまでも下へ落ちていく( へ)。 しかし には決して届かない 軸は、触れられない壁だ。

これは、 で「 軸に近づくが届かない」ことの、鏡像である。

そして、逆関数の関係は「操作を打ち消し合う」ことも意味する。

乗する」と「 をとる」は、互いに打ち消し合う。 服を着て、脱げば、元に戻るように。

この"打ち消し合い"が、方程式を解くときの武器になる。

をとることで、指数の肩から が降りてきた。 逆関数とは、閉じ込められた変数を解放する鍵なのだ。

ポイント

  • 対数の定義域は真数 ()。
  • は増加、 は減少。どちらも を通る。

よくある間違い

  • 定義域を実数全体としてしまう(真数は正なので )
  • 値域を としてしまう(対数の値は負にも にもなる。値域は実数全体)
  • でも値があると思ってしまう( 軸が漸近線で、 は定義されない)