数学II / 指数関数・対数関数
底の変換
問題
の値を求めよ。
ヒントを見る
底 のままでは計算しにくい。底をそろえる変換があった — も も同じ数の累乗であることを活かそう。
解答・解説
方針
底がそろっていないので、底の変換公式で底を にそろえる。。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 — 底が で、真数が 。
「 を何乗すると ?」— 、。 は、そのあいだにある。答えは整数ではない。
も も のべきだと気づく。
そこで、底の変換公式を使う。
底を に統一する。
「底を揃えて、割り算」 — これが底の変換だ。
確かめる。 ✓
底を にそろえる。
、 なので
発展 — 一歩先へ。 底の変換公式から、驚くべきことが分かる。どの底で対数をとっても、本質的には同じなのだ。
は、 の定数倍にすぎない。
つまり、底を変えても「グラフの形」は変わらない — 縦に伸び縮みするだけだ。
のグラフは、 のグラフを縦に 倍しただけ。
だから、数学では「どの底を使うか」は好みの問題になる。 そして、分野ごとに慣習がある。
- 数学・物理: 底 (自然対数 )。微分が ときれいになるから
- 工学・実用計算: 底 (常用対数)。桁数がすぐ分かるから
- 情報科学: 底 。ビット(情報量)の単位に対応するから
情報理論での対数。 「 通りの可能性から つを特定するのに、何ビット必要か?」
回の「はい/いいえ」質問で、 通りが特定できる()。
ビットとは、「 択を 回決める情報量」 — だから底 の対数が、情報の自然な単位になる。
この考え方が、シャノンの情報理論( 年)を生み、デジタル通信・データ圧縮・暗号のすべての基礎になった。
という計算。 それは「 択の質問を 回すれば、 通りが特定できる」という、情報の量の話でもある( 択 回 ビット、だから 回 ビット ✓)。
底を変えるとは、"単位を変える"こと。 メートルをフィートに直すのと同じで、中身は変わらない。
別解
公式を使わず、定義に戻って解く。 そして、底の変換公式が「なぜそうなるのか」を証明する。
定義ルート: 「 を何乗すると ?」を、そのまま解く。
求める値を とおく。
指数方程式になった。底を に揃える。
底が同じなので、指数を比べる。
公式を使わずに解けた。 しかも、これは指数方程式を解いているだけだ( 番の問題と同じ)。
対数の問題は、指数の問題に翻訳できる。 迷ったら、いつでもここに戻ればよい。
さて、底の変換公式を証明しよう。
証明。 とおく。定義から
両辺の をとる( は任意の底)。
左辺に「」を使う。
について解く。
証明終わり。 使ったのは「」だけ — 前問の性質から出てくる。
この公式の使い道は、 つある。
用途1: 底を揃える(この問題)。異なる底の対数が混じった式は、 つの底に統一しないと計算できない。
用途2: 電卓で計算する。 電卓には ()と ()しかない。 を計算したければ
どんな底の対数も、 を底とする対数から計算できる。
用途3: 逆数の関係。 とすると
底と真数を入れかえると、逆数になる。
確かめる: ✓
「底と真数の立場は、逆数で結ばれている」 — 美しい対称性だ。
ポイント
- 底がそろわないときは底の変換で共通の底に。
- 分子が真数、分母が底(の対数)。
よくある間違い
- 底の変換公式で、分子と分母を逆にする( で、真数が分子)
- としてしまう(4を2乗すると16。8ではない)
- と を のべきに直せず、計算の土俵に乗せられない