数学II / 指数関数・対数関数

対数の性質

★ 基礎対数の性質

問題

の値を求めよ。

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対数の和と差は、真数のかけ算・わり算にまとめられる。 つを つの対数にまとめてから値を求めよう。

解答・解説

方針

対数の和は真数のかけ算、差はわり算にまとめられる。1つの対数にまとめてから計算する。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 対数の つの性質を使う。

の足し算は、真数の掛け算。 の引き算は、真数の割り算。

つを つにまとめる。

の値は、それぞれは無理数(汚い数)だ。 しかしまとめると、きれいに になる。

「バラバラの を、 つにまとめる」 — これが対数計算の基本方針である。

公式

① 1つの対数にまとめる。 和はかけ算、差はわり算。

② 定義で値を出す。 なので

まとめ:バラバラの対数は、和 → かけ算・差 → わり算 で1つにまとめると真数が簡単になる。最後は定義で値を読む。

発展 — 一歩先へ。 「掛け算を足し算に変える」— この性質が、計算尺という道具を生んだ。

計算尺のしくみ。 本の定規に、対数目盛(等間隔ではなく、 の位置が に対応する目盛)を刻む。

を計算したいとき。 片方の定規の「」を、もう片方の「」に合わせ、そこから「」の位置を読む — が出る。

なぜか。 対数目盛では、位置が に対応している。定規をずらして足し合わせると

"長さの足し算"が、"数の掛け算"になる

掛け算を、定規をずらすだけで実行できる。 電卓のない時代、技術者は計算尺を胸ポケットに入れて持ち歩いた。

アポロ 号の月着陸( 年)でも、宇宙飛行士は計算尺を携行していた。 コンピュータが故障したときの、最後の砦として。

そして、対数の発明者ネイピア( 年)は、こう書いている。

「計算に費やす無駄な時間と、避けがたい誤りほど、数学の学徒を悩ませるものはない。」

彼は 年かけて対数表を作り、天文学者たちの膨大な計算を救った。 ラプラスは「対数の発明は、天文学者の寿命を 倍にした」と讃えた。

現代でも、この性質は生きている。

コンピュータの内部では、大きな数の掛け算を「対数をとって足す」ことがある(浮動小数点数の指数部の足し算は、まさにこれだ)。

音量調節のつまみ、写真の露出、機械学習の損失関数(対数尤度)掛け算を足し算に変える対数の魔法は、今日も静かに働き続けている。

という小さな計算。 その裏に、 年分の人類の計算の歴史がある。

別解

「なぜ の和が、真数の積になるのか」 — 指数法則の裏返しである。証明を知れば、公式は忘れられない。そして数値で検算しよう。

証明: 指数法則から導く。

とおく(つまり )。

指数法則から

これを対数の言葉に翻訳する。

証明終わり。

「指数を足すと、値が掛かる」 という指数法則を、裏返しただけだ。

対数の性質は、すべて指数法則の言い換えである。

指数法則 対数の性質

つとも、左を裏返せば右になる。 覚えるのは指数法則だけでよい。

数値で検算する。

ぴったり になった。 個々の値は無理数なのに、和が整数になる — まとめてから計算する意味がここにある。

もし つずつ小数で計算していたら、誤差が入るし、 という美しい答えも見えなかった。

さて、対数計算でいちばん多い誤りを、はっきりさせておこう。

これは絶対に成り立たない。 正しいのは

「掛け算が、足し算になる」のであって、「足し算が足し算になる」のではない。

確かめてみよう。

一方

たまたま一致した! — が、これは偶然だ。 に対し、今度は違う。

つの例で確かめただけでは、公式の真偽は分からない。 反例を探すことが、公式を疑うということだ。

対数の中の足し算は、"外に出せない"。 これが、 を扱ううえで最も重要な戒めである。

ポイント

  • 和はかけ算、差はわり算で1つの対数に。

よくある間違い

  • の和を、真数の和にしてしまう( で、積になる)
  • 引き算を掛け算にしてしまう( で、割り算)
  • としてしまう(底と真数が同じなら必ず )