数学II / 指数関数・対数関数

指数不等式(基本)

★ 基礎指数不等式

問題

次の不等式を解け。

(1)

(2)

ヒントを見る

方程式と同じく、まず底をそろえる。ただし不等式では、底が より大きいか小さいかで指数の不等号の向きがどうなるか — そこが最大の注意点。

解答・解説

方針

両辺を同じ底の累乗にそろえる。底が より大きければ不等号はそのまま、 より小さければ不等号が逆になる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 不等式も、まず底を揃える。しかし、方程式とは決定的に違う注意点がある。

(1)

より大きい は増加関数

増加関数では、大小関係がそのまま指数に引き継がれる。

(2)

より小さい減少関数!

減少関数では、値が大きいほど、指数は小さい。 つまり不等号が反転する。

( と、底を に揃えた。)

底が より小さいと、不等号がひっくり返るこれがこの単元最大の落とし穴である。

公式指数不等式: は指数の大小そのまま、 は不等号が逆になる

(1) 。底 なので不等号はそのまま。

(2) 底を にそろえる。。底 なので、指数を比べるとき不等号がになる。

xyOy=32x=5
y=2^x>32 ⟺ 曲線が直線 y=32 より上 ⟺ x>5

発展 — 一歩先へ。 「増加関数か減少関数か」で不等号の扱いが変わる — この構造は、あらゆる不等式に共通する原理である。

「単調な関数を通しても、順序は保たれる(または反転する)」

この原理が使える場面。

  • 指数: で保存、 で反転
  • 対数: 底 で保存、 で反転(同じ!)
  • : の範囲でのみ保存( は正の範囲で増加)
  • 逆数: は( で)減少関数 → 反転する

逆数で反転する例。

当たり前に見えるが、これも「減少関数だから反転」の一例だ。

そして、この原理を知らないと、危険な間違いを犯す。

両辺に を掛けて 、つまり ?

間違い。 が負のとき( など)を確かめてみよう。

しかし を満たさない。 解を落としている!

正しい答えは または

なぜ間違えたか。「 を掛ける」とき、 の符号が分からないのに、不等号の向きを固定してしまった。

なら向きはそのまま、 なら反転場合分けが必要だったのだ。

「掛ける数・割る数の符号」「関数の増減」 — 不等式では、この つを常に意識する。等式では気にしなくてよかったことが、不等式では命取りになる。

(1) (2)

別解

「不等号がひっくり返る」を、絶対に忘れない方法がある。 グラフを見ることと、数値で確かめることだ。

グラフで理解する。

は、右下がりのグラフ(減少関数)。

が増えると は減る — だから「 が大きい」ということは「 が小さい」ということ。

」の部分を、グラフで探す。 グラフの左側(x が小さいほう)で、 の値が大きくなっている。 となるのは

そこより左(小さい )が、 の範囲。

グラフを見れば、「左側だ」と一目で分かる。 不等号の向きを頭で考える必要すらない。

数値で確かめる(最強の検算)。

答え が正しいか、実際に数値を入れてみる。

(答えの範囲内):

(答えの範囲外):

成り立たない範囲外なので、これで正しい。

もし答えを と間違えていたら が解に含まれることになる。しかし で不等式を満たさない 回代入すれば、間違いが露見する。

秒の検算で、致命的なミスが防げる。

「不等号の向きに迷ったら、数値を つ入れる」 — この習慣を、絶対に身につけたい。

なぜ底が より小さいと反転するのか、もう 度整理する。

書き直すと、指数にマイナスがついている。

より大きい(増加関数)ので、そのまま指数を比べられる。

最後に「両辺を で割った」から、不等号が反転した

「底が より小さい」を「指数にマイナスがつく」に読みかえれば、反転の理由は"負の数で割ったから" — 中学以来おなじみのルールに帰着する。

つの理解を持っておこう。

  • グラフの目: 減少関数だから、大小が逆転する
  • 式の目: で、負の数を割ることになる

どちらでもよい。 つでも腑に落ちれば、二度と間違えない。

ポイント

  • は不等号そのまま、底 は逆。
  • この符号の反転が指数不等式で最も間違えやすい。

よくある間違い

  • 底が より小さいのに不等号をそのままにするミス。逆にする
  • 底を揃えずに指数を比べてしまう
  • 答えが出たあと、数値を代入して確かめない(1回の代入で符号ミスは必ず見つかる)