数学II / 指数関数・対数関数
指数関数のグラフ
問題
関数 について、定義域と値域を答えよ。また、増加関数か減少関数かを答えよ。
ヒントを見る
にいろいろな値(負の数も)を入れてみて、 がどう動くかを観察しよう。 が決して取れない値があることに気づくはず。
解答・解説
方針
()のグラフの形を思い出す。 はどんな実数でもよく、 はつねに正、そして右上がり(増加)。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 のグラフを、値の表から起こしてみる。
つのことが読み取れる。
定義域: にはどんな実数を入れてもよい( でも でも計算できる)。
値域: は必ず正。どんなに を小さくしても、、、 と に近づくが、決して にはならない。
増減: が増えると も増える。
「 に近づくが にならない」 — 軸が漸近線になっている。
は の指数関数。
- 定義域: にはどんな実数を入れてもよいので、実数全体。
- 値域: は が大きな負でも に近づくだけで、 や負にはならない。よって 。
- 増減: なので が増えると も増える。増加関数。
発展 — 一歩先へ。 指数関数には、特別な底がある。ネイピア数 だ。
なぜ が特別なのか。 は、微分しても自分自身になる唯一の関数だからだ(定数倍を除いて)。
グラフのどの点でも、「高さ」と「傾き」が等しい。 高さ のところでは傾きも 、高さ のところでは傾きも — 増え方が、現在の量に比例する。
これは、自然界のあらゆる「自己増殖」の法則そのものである。
- 細菌: 数が多いほど、増える速さも大きい
- お金(複利): 元本が多いほど、利息も多い
- 放射性崩壊: 原子が多いほど、崩壊する数も多い(こちらは減少なので )
- 人口増加: 人が多いほど、生まれる子も多い
「変化率が、現在の量に比例する」現象は、必ず の形になる。 これは微分方程式の最も基本的な解であり、自然を記述する第一の関数なのだ。
の定義の つは、複利から出てくる。
「年利 を、 回に分けて複利計算する」 — 回なら 倍、 回なら 倍、 回なら約 倍 無限に細かく分けると、 倍に収束する。
「連続複利の極限」が 。 銀行の利息計算から、自然界の成長法則まで、 つの数がつないでいる。
を学ぶことは、 への準備運動である。 数IIIで、この特別な関数が主役になる。
定義域:実数全体、値域:、増加関数
別解
底が変わると、グラフはどう変わるか。 それを押さえておけば、指数関数のすべてが見える。
底が より大きいとき()。
、、 — どれも増加関数。
底が大きいほど、急激に増える。 で比べると
底が より小さいとき()。
の値の表を作る。
が増えると、 は減る — 減少関数だ。
なぜか。 と書き直せば分かる。 を、 軸で折り返したグラフである()。
この違いが、不等式を解くときに決定的になる(問題 で使う)。
すべての指数関数に共通する性質。
共通1: 必ず点 を通る。
すべての指数関数のグラフが、 点 で交わる — きれいな事実だ。
共通2: 値域はいつも 。
正の数を何乗しても、正である。 にも負にもならない。
共通3: 軸が漸近線。
なら で、 なら で、 に限りなく近づく。
この「 に近づくが にならない」性質が、現実の現象を記述する。
放射性物質の崩壊。 半減期ごとに半分になるが、完全にゼロにはならない(数学的には)。
薬の血中濃度。 体内から少しずつ抜けていくが、指数的に減衰する。
コーヒーの冷め方(ニュートンの冷却法則)。 室温との温度差が、指数的に減っていく。
そして、増加のほうも劇的だ。
細菌の増殖、複利、ムーアの法則(半導体の性能は 年で 倍)、SNS の情報拡散 — すべて の形をしている。
「指数関数的」という言葉が、日常語として使われるほど、この関数は現実を支配している。
枚の紙を 回折ると、月に届く。( mm 万 km。実際には折れないが、計算はこうなる。)
指数の増え方は、人間の直感を軽々と超える。 その恐ろしさを知っておくことも、この関数を学ぶ意味である。
ポイント
- はつねに正()。 や負にならない。
- は増加、 は減少。どちらも を通る。
よくある間違い
- 値域を「実数全体」としてしまう( は必ず正なので )
- 定義域を に限ってしまう(指数は負でも でもよい)
- になる があると思ってしまう( 軸は漸近線で、決して届かない)