数学II / 式と証明

2のべきの積と等比数列の和

最難関編恒等式望遠鏡式

問題

(1) 次の等式を示せ。

(2) 一般に、0以上の整数 に対して次の等式を示せ。

ヒントを見る

左端に「あと1つ因子があれば連鎖が起きる」形が見えないか。 から始まる連鎖 — 掛けて畳む、が効く。掛けたものは最後に外せることも忘れずに。

解答・解説

方針

そのまま展開すると項が爆発する。両辺に 1−x を掛けると、左辺は (1−x)(1+x)=1−x²、(1−x²)(1+x²)=1−x⁴、…と次々に畳まれて 1−x^{2^{n+1}} だけが残る。右辺×(1−x) も同じ値になる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 (1)を正直に展開しても16項で確かめられる。だが(2)の一般形はそうはいかない。

左辺の並び を見て、「 を1つ補えば、和と差の積の連鎖が起きる」ことに気づけるか。、…と、掛けるたびに指数が倍になって畳まれていく。

右辺も を掛ければ、等比数列の和の公式の形。両辺とも同じ1つの式に潰れる。

公式和と差の積 の連鎖。等比数列の和

① 左辺に を掛ける((2)を示す)。

② 右辺に を掛ける。 等比数列の和の公式(を積の形で読んだもの)から

③ 結論。 ①②より、両辺の差を とすると は恒等的に0。 は0でない多項式だから は恒等的に0、すなわち両辺は多項式として等しい( を含むすべての で成り立つ)。(1)は の場合である。

まとめ: 「足りない因子を掛けて連鎖を起こし、最後に外す」— 積の望遠鏡の型だ。掛けた を外す③の一言(多項式として割ってよい理由)まで書いて、証明が閉じる。

発展 — 一歩先へ。 (1)に を代入してみると、。左辺に並ぶのは 型の数(フェルマー数)で、「フェルマー数の積は より1小さい数になる」という整数の等式が、この恒等式の1つの断面として出てくる。

証明(両辺に を掛けると、左辺は畳まれて 、右辺も同じ)

別解

2進法の数え上げで係数を見る(得意な人向け)。 掛けて畳む代わりに、「展開したとき何が起こるか」を数え上げの目で見る。

左辺を展開した1つの項は、各因子 から「 を取るか を取るか」を選んだ積だ。 を取った因子の集まりを とすると、その項は

つまり、指数として現れるのは「 から選んだ和」で、その選び方1つにつき項が1つ。

ここで2進法の一意性が効く。 から までのどの整数も、 の和としてちょうど1通りに書ける。だから展開後、()の係数はすべてちょうど1。これは右辺そのものだ。

恒等式の正体は「2進法表示の一意性」だった。代数の等式と数え上げの事実が、同じものの2つの言い方になっている。

ポイント

  • を掛けると左辺は連鎖して
  • 右辺 ×
  • 係数がすべて1 ⟺ 2進法表示の一意性(別の顔)。

よくある間違い

  • 掛けた を外す論理(多項式として なら )を飛ばす。 の場合が気になったら、この一言で解消する。
  • 連鎖の途中を書き飛ばして指数を誤る。 と、毎回ちょうど倍になる。
  • (1)を16項の展開で確かめて、(2)で手が止まる。一般化に耐える方法(畳む・数える)を最初から選ぶ。