数学II / 式と証明
コーシー・シュワルツの不等式(ラグランジュ恒等式)
問題
実数 について、ラグランジュの恒等式 を示し、これを用いてコーシー・シュワルツの不等式 を示せ。
ヒントを見る
恒等式の右辺は平方の和なので 以上。左辺 。等号は (比例)。
解答・解説
方針
恒等式は両辺を展開して一致を確かめる。右辺が平方の和で だから、左辺 、すなわちコーシー・シュワルツが従う。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 示したいのは「左辺 (内積の2乗) 平方の和」という恒等式。恒等式なら、両辺を展開して突き合わせるのが確実だ。
展開で効くのは添字の整理。左辺は 型の和と 型の和の差になり、 の項が打ち消し合って のペアだけが残る。
「 平方の和」まで示せば、右辺 は自動。コーシー・シュワルツの不等式が“おつりの正体”ごと手に入る。
① 恒等式の確認。 左辺を展開する。、。差をとると、 の項は消え、 の項が これで恒等式が成り立つ。
② 不等式。 右辺は平方の和だから 。よって すなわち 。等号は全ての で 、すなわち と が比例するとき。
まとめ ラグランジュ恒等式で「積 −(内積)」が平方和に等しいことを示すと、コーシー・シュワルツが従う。恒等式(展開)と不等式(平方和)の融合。不等式を「 の恒等式」に翻訳するのが定石。
発展 — 一歩先へ。 ベクトルで読むと、コーシー・シュワルツは 。そして“おつり” は、3次元では外積の大きさの2乗 、つまり2つのベクトルが張る平行四辺形の面積の2乗である。不等式の余りに図形の意味が宿っている。
左辺を展開すると 。整理すると 。右辺は平方和 なので 。
別解
別解 — 2次関数の判別式で示す(苦手な人にも見通しのよいルート)。 すべての実数 について
は明らかだ(平方の和だから)。左辺を展開して で整理すると
のとき、常に 以上の2次式は判別式が 以下。すなわち 、コーシー・シュワルツそのものだ( なら全 で両辺 )。
等号は となる があるとき。つまり各 、比がすべてそろうときに限る。
恒等式(本解)は「差の正体」まで教えてくれる。判別式は「不等式だけを最短で」出す。両方の顔を知っておきたい。
ポイント
- 差(右辺 − 左辺)が平方の和になる。
- 平方和 からコーシー・シュワルツ。
- 等号は ( が比例)。
よくある間違い
- 展開の整理で の項の扱いを誤る(2つの和はどちらも を含み、差でちょうど消える)。
- 等号成立条件(、成分の比がすべてそろう)を書き忘れる。
- の組を数え違える(3変数なら の3組。平方は3個)。