数学II / 式と証明
不等式の証明(差をとる)
問題
、 を実数とする。 が成り立つことを証明せよ。また、等号が成り立つのはどんなときか。
ヒントを見る
『左辺 右辺』 を計算する。これは何かの 乗にまとまらないか? 乗は必ず 以上。等号は、その 乗が になるとき。
解答・解説
方針
不等式の証明は『(大きいはずの辺)(小さいはずの辺)』を示すのが基本。差を計算して、 乗の形(必ず 以上)にまとめる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 不等式 を証明するときは、差を作って「 以上」を示す。
この形にすれば、あとは「符号を読む」だけの問題になる。
この式は、何かに似ていないだろうか。 の展開そのものだ。
そして、実数の 乗は必ず 以上()。
証明終わり。
等号はいつか。 となるのは 、つまり のとき。等号成立条件は必ず書く — 書かないと減点される。
差をとる。
乗は必ず 以上だから、。つまり
が成り立つ。
等号が成り立つのは 、つまり 、すなわち
(不等式の証明は『差をとって、 乗など 以上とわかる形にまとめる』が王道。等号成立は、その 以上の部分が になる条件だ。)
発展 — 一歩先へ。 不等式の証明で「両辺を 乗する」という操作をよく使うが、これは無条件には許されない。
、 を入れてみる。 は正しいが、 乗すると — 偽になる。
乗が使えるのは、両辺が 以上のときだけ。
この条件を書かずに 乗すると、答案は減点される。
同じく危ないのが「両辺に掛ける」操作だ。
- なら (向きはそのまま)
- なら (向きが反転する)
負の数を掛けると不等号がひっくり返る — 中学以来の約束だが、文字を掛けるときに忘れやすい。 の符号が分からないまま両辺に を掛けてはいけない。
「差をとって と比べる」という方法が推奨されるのは、こうした落とし穴を避けられるからだ。 差の符号を調べるだけなら、掛け算も 乗も要らない。安全な道を選ぶ — 証明では、それが実力である。
。等号は のとき(証明は解答参照)
別解
この不等式を、面積の絵で見る。 数式が苦手でも、絵なら「なぜ成り立つのか」が一目で分かる。
、 として、正方形と長方形を描く。
- 左辺 : 辺 の正方形と、 辺 の正方形。この つの正方形の面積の和
- 右辺 : 縦 ・横 の長方形が つぶんの面積
問い: つの正方形の面積の和は、 つの長方形の面積の和より、必ず大きいか?
答えはイエス。しかも、その理由が図で見える。
辺 の大きな正方形を、縦横に切って つに分けると
の正方形、 の正方形、そして の長方形が つ — これが大きな正方形の中身だ。
ここで、 通りの見方をする。
は 辺 の正方形、 は の長方形 つ分。
辺 の正方形の中に、 の長方形を つ敷き詰められるか? — できない(隙間ができるか、 のときだけぴったり)。だから
この隙間の正体こそ である。
「はみ出しの正方形」が、不等式の差そのものだった。 のとき隙間が消え( 辺 の正方形)、等号が成立する — 図が、等号成立条件まで教えてくれる。
さらに高い視点から。この不等式は、相加相乗平均の関係の変装である。
、 のとき、、 と置きかえてみよう。すると は
相加平均 相乗平均 — 次の問題で主役になる関係だ。
そして、この不等式は「証明の型」の見本でもある。
平方に持ち込めるかどうかが、勝負を決める。 平方完成、、 — 不等式の証明の 割は、この「平方の和」で片づくと言ってよい。
も、差をとって
同じ型だ。 乗の非負性 — たった つの武器で、不等式の世界を渡っていける。
ポイント
- 不等式の証明は『差 』を示す
- 乗の形にまとめれば 以上が言える
- 等号成立は『 乗 』の条件から求める
よくある間違い
- 差をとらず、両辺を勝手に操作して同値でない変形をする
- 等号成立条件を書き忘れる
- 、 が実数であることを使い忘れる(実数だから2乗が 以上と言える)