数学II / 式と証明
恒等式と係数比較
問題
次の等式が についての恒等式となるように、定数 、、 の値を求めよ。
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恒等式は『どんな でも成り立つ等式』。右辺を展開して について整理し、左辺と各次数の係数を見比べると、、、 の式が立つ。
解答・解説
方針
恒等式は『どんな でも成り立つ』式。右辺を展開して整理し、左辺と『同じ次数の係数どうしが等しい』とおけば、、、 の連立方程式になる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 恒等式とは「どんな でも成り立つ等式」のこと。方程式( つか つの特別な でしか成り立たない)とは別物だ。
どんな でも成り立つためには、両辺を整理したとき、 の係数どうし、 の係数どうし、定数項どうしが、それぞれ一致していなければならない。
これが係数比較法である。
右辺を展開する。
左辺と見比べる。
文字・ 式の連立方程式になった。 の展開で を落とさない — ここが唯一の関門だ。
右辺を展開して、 について整理する。
恒等式なので、左辺 と『同じ次数の係数』がそれぞれ等しい。
- の係数:
- の係数:
- 定数項:
を2番目に入れて 、。3番目に入れて 、。
(恒等式は『係数を比べる』か『 に具体的な数を代入する』かで解ける。次の問題では代入で解いてみよう。)
発展 — 一歩先へ。 「恒等式」と「方程式」の違いは、答案で決定的に効く。
- 方程式 : 特定の を求める問い。「 はいくつか」
- 恒等式 : どんな でも成り立つように、係数を求める問い。「、、 はいくつか」
主役(未知数)が違う。 方程式では が未知数、恒等式では 、、 が未知数で、 は「どんな値でもよい自由な文字」だ。
この違いが、「係数比較してよいか」を決める。
これは方程式なので、「 の係数 と を比べて 」などとしてはいけない。恒等式でないものに係数比較を使うと、破綻する。
「これは恒等式か、方程式か」を、問題文から読み取る。 「 についての恒等式となるように」「すべての について成り立つとき」と書いてあれば恒等式。「方程式を解け」なら方程式だ。
同じ等号 が、 つの意味を持つ。 数学の記号は文脈で意味が変わる — そこを読み違えると、正しい計算が誤答になる。問題文の一語一語が、使うべき道具を指定している。
、、
別解
展開せずに、 に都合のよい値を入れる。 恒等式は「どんな でも成り立つ」のだから、好きな値を代入してよいのだ。これを数値代入法という。
代入する値は、 になってくれる値を狙う。
を入れる。 の部分が全部 になる!
が、一撃で出た ✓。展開も連立も要らない。
を入れる。
を入れる。
式を足す。
係数比較と同じ答え ✓。
どちらを使うべきか。
- 右辺が のように「 にできる形」 → 数値代入法が速い
- 右辺が展開しやすい形 → 係数比較法
注意点が つ。 数値代入法は「代入した値では成り立つ」ことしか示していない。厳密には、求めた 、、 で本当に恒等式になるかを確認する必要がある(未知数が 個で、 個の値を代入したので、逆も成り立つことは保証されるが、答案では「逆に、このとき恒等式になる」と一言添えると完璧だ)。
そして、ここからが面白い。この問題の正体は、微分にある。
答えは 、、 だった。この つの数を、 から直接作れる。
は 、 は 、 は だった。
偶然ではない。 を のべき乗で書き直すとき、その係数は微分係数で決まる。
これがテイラー展開である(大学で学ぶ)。 や を多項式で近似する、解析学の中心的な道具だ。
「 のまわりで式を並べ直す」 — 恒等式の係数決定という素朴な問題が、実は関数を局所的に見る技術の入り口だった。高校の計算問題は、しばしば大きな理論の一部を切り出したものなのである。
ポイント
- 恒等式 = どんな でも成り立つ → 同じ次数の係数が等しい
- 右辺を展開・整理してから係数を比べる
- 係数比較で連立方程式を作って解く
よくある間違い
- の中央項 を落とす
- 恒等式と『方程式( つの で成り立つ)』を混同する
- 数値代入法で、代入する値を無造作に選ぶ( が になる を最初に使うと一撃で が出る)