数学II / 式と証明
分数式の乗法・除法
問題
次の式を計算せよ。
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分数の割り算は逆数のかけ算に直す。その前に分子・分母をすべて因数分解しておくと、共通の因数がまとめて約分できる。
解答・解説
方針
分数式の割り算は『逆数をかける』。かける前に、各分数を因数分解しておくと、共通因数が約分できて一気に簡単になる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 分数式の計算は、分数の計算とまったく同じルールで動く。
割り算は、逆数を掛ける。 ここは小学校からの約束だ。
そして分数式ならではの一手が、因数分解である。
約分するには、掛け算の形(因数)にしなければならない。 展開したままでは、何と何が共通なのか見えない。
と が、上下で消える。 因数分解した瞬間に、答えが見えてくる。
「約分は、因数分解してから」 — 分数式の鉄則である。
まず、割り算を『逆数のかけ算』に直す。
分子・分母を因数分解する。、。
共通の因数 と が約分できる。
(先に因数分解しておくと、約分できる因数が見えてくる。展開してしまうと逆に大変になる。)
発展 — 一歩先へ。 分数式は、整式を「分子・分母」に持つ数のようなものだ。整数と有理数の関係が、そのまま整式と分数式の関係に対応している。
| 数の世界 | 式の世界 |
|---|---|
| 整数 、 | 整式 、 |
| 有理数 | 分数式 |
| 既約分数(これ以上約分できない) | 既約な分数式 |
| 素因数分解 | 因数分解 |
| 最大公約数で約分 | 共通因数で約分 |
「整数でできることは、たいてい整式でもできる」 — この対応は驚くほど正確だ。整式にも「割り算(商と余り)」があり、「ユークリッドの互除法」で最大公約数が求まり、「素因数分解の一意性」に対応する定理まである。
数学の構造は、対象を取り替えても保たれることがある。 整数論の道具が、そのまま多項式の理論に移植できる — 大学で学ぶ代数学は、この「共通の骨格」を抽象的に研究する分野だ。
を約分する作業は、 を約分する作業と、本質的に同じことをしている。 そう気づくと、計算がただの手続きではなく、構造の探索に見えてくる。
別解
答えが合っているか、数値を代入して確かめよう。 そして、分数式で必ず気をつけるべき「定義域」の話をする。
検算: を入れてみる。
元の式に を代入する。
答えの式に を代入する。
一致した ✓。
もう 点、 でも試す。
元の式:
答えの式: ✓
点で合えば、まず間違いない。 分数式の計算は、約分ミス・符号ミスが起きやすい。数値代入は、 秒でできる保険である。
さて、ここからが本題。「どんな でも成り立つ」わけではない。
元の式には、使えない の値がある。
- → で分母が
- の分母から →
- 割り算だから、割る数が ではいけない → 、つまり
まとめると 。
ところが、答えの式 を見ると、 を代入できてしまう( と、何事もなく値が出る)。 も同様だ。
元の式では計算できないのに、答えの式では計算できてしまう — この「ずれ」に注意したい。約分で や が消えた瞬間、その値での「計算できなさ」の記憶が失われるのだ。
厳密に書くなら
約分は、値を変えない。しかし定義域を変えてしまうことがある。
この感覚は、数IIIの極限で決定的に効いてくる。
では で計算できない。しかし約分すれば となり、 で に近づく — 「その点では定義されていないが、近づけば値が見える」。この微妙な事情が、微分の出発点になる。
分数式の約分は、単なる計算テクニックではない。 「どこで定義されているか」を意識する訓練でもある。
ポイント
- 割り算は逆数をかける
- かける前に分子・分母を因数分解 → 約分できる因数が見える
- 展開せず、因数の形のまま約分する
よくある間違い
- 逆数にせずそのままかけてしまう
- 因数分解せず展開して、約分できる形を見失う
- 分母が になる の値(定義域の除外)を意識しない