数学II / 式と証明

多項式の割り算

★ 基礎多項式の割り算

問題

整式 で割ったときの商と余りを求めよ。

ヒントを見る

筆算で割る。最高次の項どうしを見ると商の 項目が決まり、かけて引くと次数が下がる。これを、余りの次数が割る式より低くなるまでくり返す。

解答・解説

方針

数の筆算と同じ要領で割り算する。最高次から順に『割って、かけて、引く』をくり返す。余りの次数が割る式より低くなったら終わり。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 整式の割り算は、数の筆算とまったく同じ手順でできる。

手順は「最高次を消す」の繰り返しだ。

を消すには、 に何を掛けるか。これが商の第 項。掛けて引く。

残った式の最高次を、また同じように消す。 これを、割る式( 次)より次数が低くなるまで続ける。

余りの次数は、割る式より必ず低い。 次式で割るなら、余りは定数(数)になる。

急所は引き算の符号。 引くほうの式は全部の項の符号が変わる — ここで事故が起きる。

筆算の要領で、最高次から順に割る。

を引くと、残りは

を引くと、残りは

を引くと、残りは

余り は割る式 より次数が低いので、ここで終わり。

検算は『(割る式)(商)(余り)(割られる式)』で確かめる:。合っている。

発展 — 一歩先へ。 剰余の定理の特別な場合が、因数定理である。

余りが ということは、割り切れるということ。 当たり前に見えるが、これが高次方程式を解く唯一の入口になる。

を解きたい。 次方程式の解の公式は(存在はするが)複雑すぎて使えない。そこで

を見つける。

因数定理より で割り切れる。 組立除法で割ると

次方程式が、 次方程式に落ちた。

になる値を つ見つけて、次数を下げる」 — これが高次方程式の定石だ。そして候補の探し方にもコツがある。

整数解の候補は、(定数項の約数)(最高次の係数の約数)に限られる。 なら、定数項 の約数()を試すだけでよい。やみくもに代入しない。

次数を つ下げる — この一手のために、剰余の定理と組立除法がある。道具は、目的とセットで理解する。

、余り

別解

余りだけなら、 秒で出る。 そして、商も組立除法を使えば、筆算より圧倒的に速い。 つの武器を身につけよう。

武器1: 剰余の定理(余りを一撃で出す)。

今回は で割るので、

余りは ✓。筆算を 度もしていない。

なぜこれでよいのか。 割り算の式

に、 を代入する。すると の部分が になるので

が何であろうと消えてしまう — だから余りだけが残る。割る式を にする値を代入する、これが剰余の定理の心臓部だ。

武器2: 組立除法(商も余りも一気に出す)。

係数だけを横に並べる。 で割るので、左に を置く。

やり方は「下ろす → 掛ける → 足す」の繰り返し。

  1. 先頭の を、そのまま下に下ろす
  2. を、次の列に書く
  3. を下に書く
  4. を、次の列に書く
  5. を下に書く
  6. を、次の列に書く
  7. これが余り

下の段に出た が商の係数(次数が つ下がるので 次式)。

筆算と同じ答えが、掛け算と足し算だけで出た ✓。

組立除法の何がいいか。

  • 文字()を書かなくてよい → 書き間違いが激減する
  • 引き算がない(掛けて足すだけ)→ 符号ミスが構造的に起こらない
  • 速い( 次式なら 秒)

筆算の最大の敵は、引き算の符号だった。組立除法は、その引き算を「負の数を足す」に変換してしまう — ミスの原因を、仕組みで消しているのだ。

ただし、使えるのは 次式 で割るときだけ。 のような 次式で割るときは、素直に筆算する。

検算は必ず。

割り算をしたら、掛け戻す。 これで間違いはゼロになる。

ポイント

  • 最高次から『割って・かけて・引いて・下ろす』をくり返す
  • 余りの次数が割る式より低くなったら終了
  • 『割る式 × 商 + 余り = 割られる式』で検算

よくある間違い

  • 引き算のとき符号を間違える(引くほうは全項の符号が変わる)
  • 抜けている次数の項( の項など)の位置を詰めてしまう
  • 組立除法で、 なのに左に を置く(割る式を にする値、つまり を置く)