数学II / 式と証明
二項定理と特定の項の係数
問題
の展開における、 の項の係数を求めよ。
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全部展開する必要はない。二項定理の一般項を書き、 の次数がちょうど になる取り出し方だけを選べばよい。どの項を何回ずつ取るかを先に決めよう。
解答・解説
方針
全部展開しなくても、二項定理の『一般項』 を使えば、ほしい項だけ取り出せる。 になる を先に決める。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 を全部展開する必要はない。聞かれているのは の項だけだ。
二項定理の一般項を書く。
の次数は 。 これが になるのは
の項だけを計算すればよい。
つの部品を、 つも落とさないこと。
- 二項係数
- の (これを落とす人が多い)
- (奇数乗なのでマイナス)
欲しい項だけを狙い撃つ — これが二項定理の使いどころである。
の一般項は
の次数は 。 がほしいので 、つまり 。この項だけ計算する。
よって の係数は 。
(全部展開する必要はない。ほしい項の を先に決めて、その1項だけ計算するのが賢い。 の奇数乗で符号がマイナスになる点に注意。)
発展 — 一歩先へ。 「特定の項だけを取り出す」という技は、二項定理の枠を超えて使える。
たとえば の定数項を求めよ、という問題。一般項は
定数項は の次数が だから
乗の展開を書き出さずに、欲しい 項が出た。
この「一般項を書いて、次数の方程式を解く」という手順が、二項定理の問題のすべてである。
- の係数 →
- 定数項 →
- の係数 → 次数 となる
問われ方が変わっても、やることは同じ。 「一般項を書く → 次数の式を立てる → を求める → 代入する」。
多項定理(項が つ以上のとき)も、同じ発想で拡張される。
これは「同じものを含む順列」の公式そのもの — 展開の係数は、選び方の数という原理は、どこまで行っても変わらない。
別解
「なぜその項ができるのか」を、数え上げの目で見る。 公式を使わずに係数を作れるようになると、指数の取り違えが起こらなくなる。
は、 個の袋が並んでいると思う。
展開とは、各袋から か を つずつ選んで掛け、その全パターンを足すことである。
の項は、どうやってできるか。 が 個ほしいのだから、 個の袋のうち 個から を選び、残り 個から を選ぶ。
その選び方は何通りか。 個から を取る袋を 個選ぶので
(残り 個は自動的に になる。 と数えても同じ — だ。)
通りぶんの積は
同じものが 通りあるので、足すと
係数は ✓。
この見方だと、 つの部品を落としようがない。
- 「 を 個選ぶ」→ 自動的に ( も 乗される)
- 「 を 個選ぶ」→ 自動的に (マイナスが 回で負)
- 「選び方が 通り」→ 二項係数
「 個のうち何個ずつ選ぶか」だけを考えれば、公式は要らない。
検算: を代入する。
展開したすべての係数の和が になるはずだ。実際、全部展開すると
の係数 も、ちゃんと入っている。
もう つの検算: 符号のパターン。 は「 と 」の 乗だから、展開すると符号が交互()に並ぶ。 の項は上から 番目 — マイナスの位置だ。答えが正になったら、その時点で間違いと分かる。
符号のパターンを先に読んでおく — これだけで、符号ミスの半分は防げる。
ポイント
- 一般項 で、ほしい項だけ取り出す
- の次数から を先に決める
- の係数 や の符号も忘れずにかける
よくある間違い
- の係数 を掛け忘れる
- の符号(マイナス)を落とす
- の決め方を間違える( の次数は なので、 なら 。 としてしまう)