数学II / 式と証明

二項定理と特定の項の係数

★ 基礎二項定理一般項

問題

の展開における、 の項の係数を求めよ。

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全部展開する必要はない。二項定理の一般項を書き、 の次数がちょうど になる取り出し方だけを選べばよい。どの項を何回ずつ取るかを先に決めよう。

解答・解説

方針

全部展開しなくても、二項定理の『一般項』 を使えば、ほしい項だけ取り出せる。 になる を先に決める。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 を全部展開する必要はない。聞かれているのは の項だけだ。

二項定理の一般項を書く。

の次数は これが になるのは

の項だけを計算すればよい。

つの部品を、 つも落とさないこと。

  • 二項係数
  • (これを落とす人が多い)
  • (奇数乗なのでマイナス)

欲しい項だけを狙い撃つ — これが二項定理の使いどころである。

公式二項定理の一般項

の一般項は

の次数は がほしいので 、つまり 。この項だけ計算する。

よって の係数は

(全部展開する必要はない。ほしい項の を先に決めて、その1項だけ計算するのが賢い。 の奇数乗で符号がマイナスになる点に注意。)

発展 — 一歩先へ。 「特定の項だけを取り出す」という技は、二項定理の枠を超えて使える。

たとえば 定数項を求めよ、という問題。一般項は

定数項は の次数が だから

乗の展開を書き出さずに、欲しい 項が出た。

この「一般項を書いて、次数の方程式を解く」という手順が、二項定理の問題のすべてである。

  • の係数 →
  • 定数項 →
  • の係数 → 次数 となる

問われ方が変わっても、やることは同じ。 「一般項を書く → 次数の式を立てる → を求める → 代入する」。

多項定理(項が つ以上のとき)も、同じ発想で拡張される。

これは「同じものを含む順列」の公式そのもの — 展開の係数は、選び方の数という原理は、どこまで行っても変わらない。

別解

「なぜその項ができるのか」を、数え上げの目で見る。 公式を使わずに係数を作れるようになると、指数の取り違えが起こらなくなる。

は、 個の袋が並んでいると思う。

展開とは、各袋から つずつ選んで掛け、その全パターンを足すことである。

の項は、どうやってできるか。 個ほしいのだから、 個の袋のうち 個から を選び、残り 個から を選ぶ。

その選び方は何通りか。 個から を取る袋を 個選ぶので

(残り 個は自動的に になる。 と数えても同じ — だ。)

通りぶんの積は

同じものが 通りあるので、足すと

係数は ✓。

この見方だと、 つの部品を落としようがない。

  • 選ぶ」→ 自動的に ( 乗される)
  • 選ぶ」→ 自動的に (マイナスが 回で負)
  • 「選び方が 通り」→ 二項係数

個のうち何個ずつ選ぶか」だけを考えれば、公式は要らない。

検算: を代入する。

展開したすべての係数の和が になるはずだ。実際、全部展開すると

の係数 も、ちゃんと入っている。

もう つの検算: 符号のパターン。 は「」の 乗だから、展開すると符号が交互()に並ぶ。 の項は上から 番目 — マイナスの位置だ。答えが正になったら、その時点で間違いと分かる。

符号のパターンを先に読んでおく — これだけで、符号ミスの半分は防げる。

ポイント

  • 一般項 で、ほしい項だけ取り出す
  • の次数から を先に決める
  • の係数 の符号も忘れずにかける

よくある間違い

  • の係数 を掛け忘れる
  • の符号(マイナス)を落とす
  • の決め方を間違える( の次数は なので、 なら としてしまう)