数学II / 式と証明

二項定理による展開

★ 基礎二項定理

問題

二項定理を用いて、 を展開せよ。

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問題が指定する二項定理では、各項が『二項係数 × の累乗 × の累乗』の積になる。まず二項係数の並びを書き出して、それぞれの項を順に組み立てよう。

解答・解説

方針

二項定理は の二項係数 (パスカルの三角形)を使って、 を順に当てはめる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 を、カッコを 回掛けて展開するのは骨が折れる。二項定理なら一気に書ける。

必要な部品は つだ。

部品1: 二項係数(パスカルの三角形の 段目)。

部品2: の累乗()。

この つを掛け合わせたものが係数になる。

を掛け忘れて、二項係数()だけを書く — これが最頻ミスである。

定理二項定理

の二項係数は、パスカルの三角形の 段目 として、 の累乗を下げ、 の累乗を上げていく。

係数を計算して

( の累乗 を、二項係数 にかけている。両方をかけ合わせるのがコツだ。)

111121133114641
パスカルの三角形。第4段 1,4,6,4,1 が ₄Cₖ((x+2)⁴ は各項に 2^k を掛ける)

発展 — 一歩先へ。 二項定理に、うまい値を代入すると、面白い等式が次々に出てくる。

を考える。

パスカルの三角形の各段を足すと になる なら ✓。

を考える。

符号を交互につけて足すと ✓。ここから「偶数番目の和 奇数番目の和 」が出る。

を微分すると、係数に が掛かった和が出てくる。

を代入すれば

人から委員会を作り、その中から委員長を 人選ぶ」方法の数が、この式の意味だ(左辺は人数 で場合分け、右辺は「委員長を先に選び、残りを入れる・入れないで決める」)。

つの定理に、いろいろな値を代入し、微分もしてみる。 そのたびに新しい等式が生まれる — 二項定理は、等式の生成装置なのだ。数学の道具は、決まった使い方だけで終わらせるにはもったいない。

別解

二項定理を使わず、地道に 乗を でも展開できる。答え合わせに使えるし、公式が不安なときの保険になる。

乗を、 乗の 乗と見る。

まず 乗する。

それをもう 乗する。

項の 乗だから、 を使う。 として

足し合わせる。

二項定理と同じ答え ✓。

手間を比べてほしい。 乗を 回やる方法は、 乗くらいまでなら実用的だ。しかし になったら? 乗を 回半 現実的でない。

二項定理なら、 乗でも 乗でも、 行で書ける。

しかも「 の係数だけ知りたい」なら、 項だけ計算すればよい。

全部展開せずに、欲しい項だけを取り出せる — これが二項定理の本当の威力だ(次の問題で正面から使う)。

検算は で。

展開した式に を入れると

係数の和が 。ぴったり合った。

この検算は、二項定理そのものの帰結でもある。 を入れると — つまり係数の和は必ず を代入するだけで、展開の正しさが確かめられる。 秒の保険を、毎回かける。

ポイント

  • 二項定理
  • 二項係数はパスカルの三角形の各段( なら )
  • の累乗を下げ、 の累乗を上げる。両方を係数にかける

よくある間違い

  • の累乗()をかけ忘れて、二項係数だけにする
  • 二項係数の段()を取り違える
  • の指数を逆順に書く( から へ、 の指数は から へ。指数の和は常に )