数学II / 式と証明

3次式の因数分解

★ 基礎3次式の因数分解

問題

次の式を因数分解せよ。

(1)

(2)

ヒントを見る

を『何かの 乗』の形に直すのが第一歩。 乗の和・差の形が見えたら、それ専用の因数分解が使える。

解答・解説

方針

の公式。まず『何の3乗か』を見抜く。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 乗」の形を見抜くのが第一手だ。

— この見抜きができれば、あとは公式に流し込むだけ。

符号の覚え方。 前のカッコは元の式と同じ符号。後ろのカッコは真ん中だけ逆の符号、両端は必ずプラス。

後ろのカッコは ではない。 真ん中が ではなく がつかない。ここが最大の罠だ。

公式

(1) なので、 の和の3乗の因数分解。

(公式 。まん中の項が で符号がマイナスになる点に注意。)

(2) なので、 の差の3乗。

(差のほうは、まん中の項が でプラスになる。和のときと逆だ。)

発展 — 一歩先へ。 は、実数の範囲では因数分解できなかった()。しかし複素数まで広げれば、必ず分解できる

つまり の解は つある。 と、 つの虚数解だ。

これが「代数学の基本定理」の一例である。

実数だけでは 個しか見つからなかった解が、複素数まで広げると 個そろう。 数の世界を広げると、答えの数がきれいに揃う — これが複素数を導入する最大の理由だ。

しかも つの解を複素数平面に描くと、原点を中心とする半径 の円周上に、正三角形の頂点として並ぶ(数Cで学ぶ)。

乗根」が正三角形をなす、という美しい事実の親戚である。 という素朴な式の裏に、円と正三角形が隠れていた — 代数の式が、幾何の形を語り出す瞬間だ。

(1) (2)

別解

公式を忘れたら、因数定理と割り算でその場で作れる。 遠回りに見えて、実は「なぜその形になるのか」の答えがここにある。

(1) を、公式なしで因数分解する。

手順1: になる値を探す。 とおいて、 となる を探す。

が見つかった。

手順2: 因数定理を使う。

手順3: 実際に割る。 で割ると

公式と同じ答えが出た ✓。

手順4: 残った 次式が、これ以上分解できるか調べる。 の判別式は

負なので、実数の範囲ではこれ以上分解できない — 因数分解はここで完成だ。

(2) も同じ手で。 なので 、つまり を因数に持つ。

この方法の何がいいか。

つ目: 公式が使えない 次式にも通用する。 のような式は、 乗の和・差の形をしていない。しかし を見つければ で割れる — 因数定理は、あらゆる高次式に効く万能の道具だ( 次方程式を解くとき、必ずこの手を使う)。

つ目: 公式の「意味」が分かる。 で割り切れるのは、 を代入すると になるからだ。公式の根っこには、因数定理がいる。

つ目: 符号の暗記から解放される。 「後ろのカッコの真ん中は か」で迷わない。割り算すれば、答えが出る。

検算は展開で。 を展開すると

真ん中の項が全部打ち消し合って消える。 これが の役目 — 打ち消し役なのだ。 だと打ち消しきれず、余りが出てしまう。なぜ がつかないのか、これで納得できるはずである。

ポイント

  • (中央は )
  • (中央は )
  • と『3乗の形』に直すのが第一歩

よくある間違い

  • ()と混同する
  • 和と差で中央の符号を取り違える
  • と見抜けず、 を外に出したまま分解しようとする