数学II / 式と証明

二項係数の和

★★★ 応用二項定理

問題

二項定理を用いて、次を示せ。

(1)

(2)

ヒントを見る

二項定理の展開式は、 にどんな値を入れても成り立つ恒等式。ほしい和がちょうど現れる代入値を探せるか。

解答・解説

方針

を二項定理で展開した式に、うまい を代入する。 で(1)、 で(2)。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 二項係数の和は、 の展開式に値を代入すると一瞬で出る。

を入れれば全部の和が を入れれば符号が交代して和が

証明したい和が、既知の展開式のどの代入で現れるか。それを逆算するのが発想の核だ。

定理二項定理

(1) を代入すると、左辺 、右辺 。よって

(2) を代入すると、左辺 、右辺 。よって

((1)と(2)を足し引きすると、偶数番目の二項係数の和と奇数番目の和がともに になることも導ける。)

発展 — 一歩先へ。 代入する値を変えるだけで、別の和が次々に生まれる。

を入れれば 、一般に 。重み の付いた二項係数の和が、 を選ぶだけで手に入る。

さらに の虚数乗根を代入すると、番号がとびとびの二項係数だけを集めた和も取り出せる。 乗根をすべて代入して平均をとると、 個おきの二項係数の和が残る(1の冪根フィルター)。 という 本の恒等式が、代入値しだいで無数の和を生む母関数なのだ。

を代入(証明は解答参照)

別解

別解 — 部分集合を数えて示す(苦手な人向けの数え上げルート)。 代入を使わず、集合の要素の選び方で考える。

個のものからいくつか選ぶ選び方は、各要素を「選ぶ・選ばない」の 通りだから全部で 通り。一方、ちょうど 個選ぶ選び方は 通り。 で足し合わせれば同じ全体を数えたことになり、 が言える。

は「偶数個選ぶ」場合と「奇数個選ぶ」場合が同数であることを示せばよい。要素を つ決め、それを「入れる・入れない」で切り替えると、偶数個の選び方と奇数個の選び方が過不足なく に対応する()。だから両者は同数で、差をとった交代和は

代入(本解)と同じ結論だが、二項係数が「選び方の個数」だという原点に戻ると、等式の意味が見える。本解と同じ答えだ。

ポイント

  • 係数の和は に値を代入して作る
  • → 全部の和、 → 符号交代の和
  • 2式から偶数番・奇数番の和()も出る

よくある間違い

  • 代入する値()が思いつかず、二項係数を つずつ計算して力ずくで示そうとする。
  • を使えず、符号が交代する和の扱いに詰まる。
  • の末項 の符号を取り違え、足し引きを誤る。