数学II / 式と証明
二項係数の和
問題
二項定理を用いて、次を示せ。
(1)
(2)
ヒントを見る
二項定理の展開式は、 にどんな値を入れても成り立つ恒等式。ほしい和がちょうど現れる代入値を探せるか。
解答・解説
方針
を二項定理で展開した式に、うまい を代入する。 で(1)、 で(2)。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 二項係数の和は、 の展開式に値を代入すると一瞬で出る。
を入れれば全部の和が 、 を入れれば符号が交代して和が 。
証明したい和が、既知の展開式のどの代入で現れるか。それを逆算するのが発想の核だ。
(1) を代入すると、左辺 、右辺 。よって
(2) を代入すると、左辺 、右辺 。よって
((1)と(2)を足し引きすると、偶数番目の二項係数の和と奇数番目の和がともに になることも導ける。)
発展 — 一歩先へ。 代入する値を変えるだけで、別の和が次々に生まれる。
を入れれば 、一般に で 。重み の付いた二項係数の和が、 を選ぶだけで手に入る。
さらに に の虚数乗根を代入すると、番号がとびとびの二項係数だけを集めた和も取り出せる。 の 乗根をすべて代入して平均をとると、 個おきの二項係数の和が残る(1の冪根フィルター)。 という 本の恒等式が、代入値しだいで無数の和を生む母関数なのだ。
に 、 を代入(証明は解答参照)
別解
別解 — 部分集合を数えて示す(苦手な人向けの数え上げルート)。 代入を使わず、集合の要素の選び方で考える。
個のものからいくつか選ぶ選び方は、各要素を「選ぶ・選ばない」の 通りだから全部で 通り。一方、ちょうど 個選ぶ選び方は 通り。 で足し合わせれば同じ全体を数えたことになり、 が言える。
は「偶数個選ぶ」場合と「奇数個選ぶ」場合が同数であることを示せばよい。要素を つ決め、それを「入れる・入れない」で切り替えると、偶数個の選び方と奇数個の選び方が過不足なく 対 に対応する()。だから両者は同数で、差をとった交代和は 。
代入(本解)と同じ結論だが、二項係数が「選び方の個数」だという原点に戻ると、等式の意味が見える。本解と同じ答えだ。
ポイント
- 係数の和は に値を代入して作る
- → 全部の和、 → 符号交代の和
- 2式から偶数番・奇数番の和()も出る
よくある間違い
- 代入する値()が思いつかず、二項係数を つずつ計算して力ずくで示そうとする。
- で を使えず、符号が交代する和の扱いに詰まる。
- の末項 の符号を取り違え、足し引きを誤る。