数学II / 積分の考え
3次関数と直線が囲む2部分の面積
問題
次関数 のグラフと直線 で囲まれる つの部分の面積は等しいことを示せ。
ヒントを見る
交点を求め、差 の対称性を見る。 が奇関数なら、囲む2部分は原点について点対称。
解答・解説
方針
交点は より 。 は奇関数。原点対称性から 部分の面積は等しい。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 2つの面積をそれぞれ積分して比べるのが素朴な道。だが計算の前に、図形の対称性を疑ってみる。
曲線と直線の差 を作ると、これは奇関数()。つまり囲まれた2つの部分は、原点(=3次関数の変曲点)についてぴったり点対称だ。
点対称な図形どうしの面積は等しい。積分を1本も計算せずに、結論が出てしまう。
① 交点を求める。 、。 交点で囲む 部分は区間 と に対応する。
② 差の対称性。 。 だから は奇関数。 での面積 と での面積 は、 の置換で一致する。
③ 結論。 よって つの部分の面積は等しい。(実際 は で 、 で で、どちらの面積も 。)
まとめ:差 が奇関数(原点=変曲点対称)であることに気づけば、 部分は点対称で面積が等しいと即座に言える。個別に積分しても各 で確認できる。 次関数の点対称性が急所。
発展 — 一歩先へ。 符号つき積分 (奇関数)だけでは、面積の相等は言えない。正負が相殺しただけかもしれないからだ。本問で結論できるのは、 が で常に 、 で常に と各区間で符号一定だから。「積分が 」+「各部分で符号一定」の2点セットで初めて、面積の相等になる。論証の穴になりやすい急所だ。
と はともに奇関数で原点(変曲点)対称。 部分は点対称だから面積が等しい
別解
一般の3次で同じことを示す(この問題は氷山の一角)。 実は直線 である必要はない。変曲点を通る直線なら何でも、3次曲線と囲む2部分の面積は等しい。
3次関数 の変曲点の 座標を とし、平行移動 で変曲点を原点に移す。すると3次式は の形になる(2次の項が消える)。変曲点 を通る直線は と書けて、差は
これは奇関数。よって2つの囲み部分は原点対称で、面積は等しい。
本問は (変曲点が原点)、直線 (原点を通る)という特別な場合だった。逆に、変曲点を通らない直線では2部分の面積は一般に等しくならない。「なぜ でうまくいったのか」の答えは、「変曲点を通っていたから」だ。
ポイント
- 差 は奇関数(原点対称)。
- 部分は点対称で面積が等しい(各 )。
よくある間違い
- 「グラフが対称に見える」で済ませ、差が奇関数であること( の計算)を書かない。
- 交点の因数分解 を誤り、囲む区間を取り違える。
- を「面積が等しい」の証明として出す。符号つき積分の相殺と面積の相等は別物で、各区間で符号一定であることの確認が要る。