数学II / 積分の考え

微分と積分の関係

★ 基礎微分積分の関係

問題

を求めよ。

ヒントを見る

『積分してから微分する』とどうなるか、という関係そのものを問う問題。関係を思い出せなければ、実際に積分 → 微分と手を動かして確かめてもよい。

解答・解説

方針

「上端が の定積分」を で微分すると、被積分関数の に置きかえたものになる。積分してから微分すると元に戻る、という関係。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 この式は、微積分学の基本定理そのものだ。

「積分してから微分すると、元に戻る。」

答えは、被積分関数に を代入するだけ。

計算は、これで終わり。

急所は、記号の使い分けだ。

  • : 積分の中で動く変数(積分変数)。積分が終われば消える
  • : 積分の上端。積分の結果は の関数になる

は「 の関数」である( は消えている)。

その関数を で微分すると、被積分関数の に置きかえたものになるこれが定理の主張だ。

定理(積分してから微分すると元に戻る)

上端が の定積分を で微分すると、被積分関数の に置きかえたものになる。

(確かめ:。これを微分すると 。)

まとめ:「 で微分 = 中身の に」。下端 が何であっても結果は同じ(定数部分は微分で消える)。

発展 — 一歩先へ。 「積分してから微分すると元に戻る」— では、上端が でなく、 の関数だったら?

単純に を代入するだけでは、間違いだ。

合成関数の微分(連鎖律)が必要になる。

「被積分関数に上端を代入」× 「上端の微分」後ろの を忘れてはいけない。

一般形で書くと

この形は、大学入試でも問われる。

そして、下端が の場合はどうか。

上端と下端を入れかえると、符号が反転する。

マイナスがつく!

「上端で微分 → そのまま」「下端で微分 → 符号反転」 — この違いを押さえておこう。

さらに、両方が の関数なら

ライプニッツの積分則の特別な場合だ。

この公式は、物理や工学で「積分の中に変数が入っている量」を扱うときに、頻繁に使われる。

電磁気学のマクスウェル方程式(積分形)、流体力学のレイノルズの輸送定理「動く境界での積分の微分」を扱う場面は、実に多い。

基本定理は、単なる計算規則ではない。 それは「積分と微分がどう絡み合うか」を語る、解析学の文法なのである。

別解

定理を信じずに、実際に積分してから微分してみよう。 本当に元に戻るのか — この目で確かめる。

手順1: まず、定積分を計算する。

上端 :

下端 :

引く。

これは の関数だ( が消えている ✓)。

手順2: これを で微分する。

元の被積分関数に戻った!

定理は正しかった。

注目してほしいのは、 という定数(下端 から来た部分)が、微分で消えたこと。

「下端が何であっても、微分すれば同じ結果になる」 — 下端は定数を生むだけで、微分すれば消えてしまう。

この事実が、定理の本質を語っている。

は、 の原始関数の つである — 下端 を変えると、定数だけが変わる(積分定数の正体だ!)。

微積分学の基本定理を、 つの形で書いておこう。

この つは、同じ定理の表と裏である。

形1が言うのは、「面積を上端で微分すると、その点の高さになる」ということ。

直感的に理解しよう。 面積 を考える。

を少し( だけ)増やすと、面積はどれだけ増えるか?

増えた部分は、幅 、高さ約 の"細長い短冊"だ。

とすると

「面積の増加率 その点の高さ」 — 当たり前のようだが、これが基本定理の核心だ。

面積を求める(積分)ことと、傾きを求める(微分)ことが、逆の操作である — この発見が、 世紀の数学革命の中身だった。

そして、この定理があるから、私たちは面積を「原始関数の差」として計算できる。 無限個の長方形を足す必要は、もうない。

ポイント

  • 下端の定数は微分すると消えるので影響しない。

よくある間違い

  • の役割を混同する( は積分変数で消え、 は上端として残る)
  • 被積分関数に を代入せず、そのまま と答えてしまう
  • 定積分を計算してから微分する手間を惜しんで、公式を誤って適用する(下端で微分すると符号が逆になる)