数学II / 積分の考え

定積分(3次式)

★ 基礎定積分

問題

定積分 を求めよ。

ヒントを見る

項ごとに原始関数を作って、上端・下端を代入。 を入れる側は消えるので、実質 回の計算で済む。

解答・解説

方針

各項を積分して原始関数を作り、 を代入して引く。 の原始関数は

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 項ごとに積分する。次数が上がっても、手順は同じだ。

原始関数を求める。

係数がきれいに約分される — この問題は、そうなるように作られている。

代入して引く。

答えは

検算: 微分して戻す。 元に戻った。

公式

① 原始関数を求める。

② 代入して引く。

まとめ: 次でも手順は同じ。(係数 になる)のように、係数の変化も確かめると計算ミスが減る。

発展 — 一歩先へ。 「積の積分は、積分の積ではない」— では、積の積分はどう計算するのか。

数IIIで学ぶ「部分積分」が、その答えだ。

積の微分公式

を、両辺積分する。

移項すると

部分積分の公式。 「積の積分を、別の積の積分に置きかえる」ことで、計算しやすい形へ持ち込む技術だ。

例:

とすると

積の形が、積分できた。

「微分公式を積分すると、積分公式が生まれる」 — この関係が、積分技術の全体を支えている。

微分公式 対応する積分技術
積の微分 部分積分
合成関数の微分 置換積分
商の微分 部分分数分解と組み合わせて

すべての積分技術は、微分公式の"裏返し"なのだ。

そして、それでも積分できない関数がある のように。

微分は必ずできるが、積分はできないことがある。 この非対称性が、積分を「技術」たらしめている。

数IIの積分( だけ)は、その入口にすぎない。 数IIIでは、置換積分・部分積分という強力な道具を手に、より広い世界へ踏み出すことになる。

「バラして積分できる」という幸福な状況を、今のうちに味わっておこう。

別解

「項ごとにバラして積分してよい」 — この性質(線形性)は、当たり前に見えて、実は積分の最も強力な武器である。それを確かめよう。

線形性を、分けて計算して確認する。

足す。

まとめて積分しても、バラして積分してから足しても、同じ答え。

これを「積分の線形性」という。

面積で考えれば、当たり前だ。 「高さが の図形の面積」は、「高さ の面積」と「高さ の面積」の和 — 積み重ねればよい。

しかし、当たり前でないことも押さえておこう。

積の積分は、積分の積ではない!

確かめる。 として、区間 で。

左辺:

右辺:

同じことが、微分でも言える。

正しくは、積の微分公式

微分でも積分でも、「和と定数倍」は素直に分けられるが、「積と商」は分けられない。

この「素直に分けられる」性質を、数学では線形性という。

線形性を持つ操作は、扱いやすい。

  • 微分・積分(和と定数倍について)
  • 行列の掛け算
  • 期待値()
  • 極限

逆に、線形でない操作は、途端に難しくなる。

「バラして計算できる」という、この当たり前の性質。 それがどれほど貴重かは、バラせない場面に出会って、はじめて分かる。

線形性は、数学における"最良の性質"のひとつなのである。

ポイント

  • 上端・下端を代入して引く。

よくある間違い

  • としてしまう(4で割るのを忘れる。正しくは )
  • を代入したとき としてしまう(2項とも足す)
  • 積の形( のような)と勘違いして、無理な変形をする(これは和なので項別に積分する)