数学II / 積分の考え
定積分(1次式)
問題
定積分 を求めよ。
ヒントを見る
原始関数を作って、上端・下端を代入して引く。代入の計算(引き算の符号)だけ丁寧に。
解答・解説
方針
原始関数 を求め、 と を代入して引く。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 手順は前問と同じ。原始関数を求めて、代入して引く。
原始関数。
代入して引く。
上端 :
下端 :
引く。
下端の値が になったので、簡単だった。
しかし油断は禁物。 下端の代入を忘れると、たまたま答えが合ってしまうことがある — 「 だから引かなくていい」ではなく、「計算したら だった」という手順を踏む。
この積分は、 次関数の下の面積 — つまり台形の面積である(別解で見る)。
① 原始関数を求める。 。
② 代入して引く。
まとめ:下端の代入 もきちんと引く。「」の引き算を省かないのがミス防止のコツだ。
発展 — 一歩先へ。 「積分は面積」だが、負の値になることもある。そこが、素朴な「面積」との違いだ。
負の値! 面積が負になるはずはない。
なぜか。 区間 で、 は負の値をとる( 軸の下にある)。
「符号つき面積」 — これが定積分の正体だ。
この性質は、便利でもあり、罠でもある。
便利な例: 打ち消し合い。
左半分の負の面積と、右半分の正の面積が、ちょうど打ち消し合う — 奇関数の積分が になる理由だ(問題 )。
罠の例: 「面積を求めよ」と言われたら。
素直に積分すると
面積が負になるはずがない。 軸の下にあるからだ。
「面積」を求めたいなら、絶対値をとるか、符号を反転させる。
または、(上 下の順で引く)。
問題 で、これを扱う。
物理では、この"符号つき"がむしろ本質的だ。
速度 を積分すると、(位置の変化)になる。
行きと帰りで往復すれば、変位は (元の位置に戻る)— 負の速度が、正の速度を打ち消す。
一方、(走った距離)は
絶対値をつける — こちらは決して負にならない。
「変位」と「道のり」の違いが、「符号つき面積」と「面積」の違いに、そのまま対応している。
定積分は、単なる面積ではない。それは"向き"を持った量なのである。
別解
この積分は、積分を使わずに求められる。 小学校で習った「台形の面積」で。
図で考える。
直線 と、 軸、、 で囲まれた図形は?
つの頂点を確認する。
- 、( 軸の上)
- ( での直線の高さ: )
- ( での高さ: )
これは台形だ!
- 上底(左の縦の辺):
- 下底(右の縦の辺):
- 高さ(横の長さ):
台形の面積公式。
積分の答えと、ぴったり一致した ✓
小学校の公式で、定積分が計算できた。
この一致は、何を意味するか。
( 次関数なら台形、 次関数なら曲線の下の面積 — 図形の種類が変わっても、積分は同じ手順で計算できる。)
そして、この一致は"検算"に使える。
次関数の定積分なら、必ず台形(または三角形)の面積になる。 積分の答えが台形の面積と合わなければ、どこかで計算ミスをしている。
もう つの見方: 平均の高さ。
台形の面積 (平均の高さ)(幅)
「平均の高さ で、幅 の長方形」と同じ面積。
この "平均の高さ" は、区間の中点 での値と一致する。
次関数では、「中点での値」が「平均の高さ」になる — 直線だから、真ん中がちょうど平均だ。
この考え方を一般化すると、「関数の平均値」という概念になる。
今回なら — 平均の高さは ✓
「積分して、区間の幅で割る」= 平均 — データの平均()と、まったく同じ構造だ。
離散(データ)では和を個数で割り、連続(関数)では積分を幅で割る。
積分は、"連続的な和"なのである。
ポイント
- 原始関数に上端・下端を代入して引く。
- 下端の値も必ず引く(省略しない)。
よくある間違い
- の を書き忘れる(定数 の積分は )
- 下端の代入を省略して、上端の値だけで答えてしまう
- の計算で、 の括弧をつけ忘れて符号を誤る