数学II / 積分の考え

条件から関数を決める

★ 基礎不定積分初期条件

問題

かつ を満たす関数 を求めよ。

ヒントを見る

が分かっているので、まず不定積分で候補をぜんぶ書く(定数が残る)。条件 が、その定数を つに決めてくれる。

解答・解説

方針

まず を積分して の形にする。次に を代入して を決める。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 段階で考える。

手順1: とりあえず積分する。 積分定数 をつけて。

この時点では、 が決まっていない。 答えの候補が無数にある。

手順2: 条件 を使って、 を決める。

これが に等しい。

「積分して、条件で を決める」 — この 段階が、初期条件つき積分の型だ。

検算: ✓、 つとも確かめる。

重要積分定数 は、与えられた条件( など)に代入して決める

① 積分して一般形を出す。

② 条件で を決める。 を代入。

よって

まとめ:「導関数と 点の値」が分かれば関数が決まる。積分で 付きの形を出し、点の条件で を確定する 段構えだ。

発展 — 一歩先へ。 「導関数と初期条件から、もとの関数を復元する」— これは微分方程式の最も簡単な例である。

この形の問題を「初期値問題」という。

そして、微分方程式こそが、科学の言語である。

物理:

「力が分かれば、加速度が分かる。 回積分すれば、位置が分かる。」

初期条件(初期位置と初速度)を与えれば、 — これが古典力学の決定論だ。

ラプラスは、こう言った( 年)。

「宇宙のすべての原子の位置と速度を知る知性があれば、その知性にとって未来は過去と同じように明らかであろう。」

「ラプラスの悪魔」 と呼ばれるこの思想は、微分方程式と初期条件が未来を決定する、という信念に基づいていた。

しかし、 世紀にこの信念は 度、揺らいだ。

度目: 量子力学( 年代)。 粒子の位置と速度を、同時に正確には決められない(不確定性原理)。初期条件が、原理的に確定できない。

度目: カオス理論( 年代)。 初期条件のごくわずかな違いが、時間とともに指数的に拡大する。「北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起きる」(バタフライ効果)。天気予報が 週間先までしかできないのは、このためだ。

微分方程式は決定論的なのに、実際には予測できない。 これは矛盾ではない — 「決定されている」ことと「予測できる」ことは、別物なのだ。

という素朴な初期値問題。 その先には、宇宙の予測可能性という、 年にわたる問いが横たわっている。

別解

この問題を、グラフで見よう。 「無数の候補から、 つを選ぶ」という構造が、目に見える形になる。

が表すのは、 本の曲線ではない。

放物線の"群れ"だ。

同じ形の放物線が、縦にずらりと並んでいる(縦に平行移動しただけ)。

この"曲線の族"を、曲線族という。

どの放物線も、同じ性質を持っている。

  • での傾きは、どれも ()
  • での傾きは、どれも

傾きの情報()だけでは、どの放物線かを特定できないどれも条件を満たすからだ。

そこで、条件 が効く。

「点 を通る」という条件だ。

無数の放物線のうち、点 を通るものは、ただ 本。

「曲線の群れから、 本を釣り上げる」 — それが初期条件の役割である。

この構造は、物理でそのまま現れる。

「速度が の物体の、位置 は?」

は「初期位置」だ。 どこから出発したかによって、位置は変わる。

「時刻 で、位置 にいた」という情報があれば、 と決まる。

「速度だけでは、位置は決まらない。出発点が要る。」 — 当たり前だが、これが積分定数の物理的な意味だ。

さらに 階微分になると、条件が つ必要になる。

「加速度が (重力)の物体の運動は?」

積分定数が つ現れる — だから初速度と初期位置の つを知らないと、ボールがどこに落ちるか計算できない。

回積分すれば、 個の定数が現れる」 — そして、それを決めるには 個の条件が必要だ。

微分方程式を解くとは、この構造を扱うことである。 数IIIで、その本格的な理論が始まる。

ポイント

  • 積分 → 付きの一般形。
  • 条件を代入して を決める。

よくある間違い

  • 積分定数 を置かずに としてしまい、条件が使えなくなる
  • の条件を使い忘れて、 を決めずに答えてしまう
  • でなく別の値を代入してしまう