数学II / 三角関数
等間隔にずらした余弦の2乗の和(2倍角と1のn乗根)
問題
とする。 を求めよ。
ヒントを見る
を2倍角で に。 は ずつ等間隔にずれた余弦の和で、複素数(1のn乗根の和 )で消える。
解答・解説
方針
で次数を下げる。残る は等間隔の余弦の和で、 の 乗根の和の実部として 。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 の和は、まず次数を下げるのが鉄則。半角(2倍角の逆)で と直す。
すると定数 が 個と、 の和が残る。
後者は角が 刻みで一周ぶん等間隔に並ぶ和。1の 乗根の和が になるのと同じ理屈で消える。残るのは定数の分 だけだ。
① 次数を下げる。 ② 等間隔の余弦の和は 。 。 は の 乗根の総和で なら 。よってこの和は 。
③ 結論。 残るのは定数部分だけで
まとめ 2倍角で の次数を下げると、等間隔にずれた余弦の和が残るが、それは の 乗根の和 の実部として消える。答えは によらず 。三角・複素数・和の融合。
発展 — 一歩先へ。 でも同じ計算で和は 。この事実は三相交流()で「瞬間電力の合計が時刻によらず一定」という送電の基本原理の数学的本体である。発電所が3本の線で送る理由の一端が、この の和に書かれている。
2倍角で に直すと、 の和は等間隔なので の 乗根の和として 。よって 。
別解
別解 — 和が消える理由を「回転しても同じ」で示す(得意な人向けの高い視点)。 次数下げのあと残る和を、複素数で とおく(求める和はこの実部)。
に を掛けてみる。各項の が ずつずれるだけで、 の項は の項に戻る()。つまり項の集合は同じで
では だから、 しかない。等比数列の和の公式すら要らない、「回して同じなら 」という対称性の一撃である。
図で言えば、 は正 角形の頂点向きの単位ベクトル 本の和。全体を 回転しても同じ矢印の束だから、和のベクトルは回転で不変=零ベクトル、というわけだ。
ポイント
- で次数を下げる。
- 等間隔の余弦の和は の 乗根の和 で消える。
- 残るのは定数の ( によらない)。
よくある間違い
- 次数を下げずに のまま加法定理で展開し、収拾がつかなくなる。
- を「対称だから」の一言で済ませる(等比の和か回転不変で一言示す)。
- 角の刻みの対応を誤る( の中は 刻みだが、2倍角にすると 刻みで一周する)。