数学II / 三角関数

2倍角の公式

★ 基礎2倍角

問題

は第1象限の角で、 とする。 の値を求めよ。

ヒントを見る

で表す変形を思い出そう。そのために、まず足りない を相互関係から出す(符号は象限から)。

解答・解説

方針

まず を相互関係で出す(第1象限なので正)。2倍角の公式 に入れる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 倍角の公式を使う。

は与えられている。 が要る。

まず を求める。 相互関係から

象限なので

あとは代入するだけ。

には つの形がある — どれを使ってもよいが、与えられている値()で書ける形を選ぶのがコツだ。

公式2倍角

まず 。第1象限なので正で

:

:

xyO(4/5, 3/5)
第1象限の点 (4/5, 3/5)。3:4:5 の直角三角形

発展 — 一歩先へ。 倍角の公式を逆に読むと、積分で不可欠な「次数下げ」の道具になる。

( 次)が、( 次)に化けた。

なぜこれが重要か。 は、そのままでは計算できない。しかし

次数を下げれば、積分できる。 数IIIの積分で、この変形は何十回と使うことになる。

同じ発想で、 も積分できる( 回、 回と次数下げを繰り返す)。

そして、この「次数下げ」は、物理でも決定的だ。

交流電流の"実効値"。 家庭のコンセントは「 V」だが、実際の電圧は

と振動していて、瞬間ごとに変わる( V から V まで)。では「 V」とは何か。

電力は に比例する。 その平均をとると

( の平均が になるのは、 の平均が だから!)

コンセントの「 V」は、 の平均が であることから来ている。

倍角の公式が、家庭の電圧の定義を支えている。 数学の公式は、教室の外で、静かに働き続けている。

別解

つの形が、本当に全部同じ値になるか確かめよう。 そして、答えの妥当性を「 がどこにいるか」で検証する。

つの顔。

つとも計算してみる。()

形1:

形2:

形3:

つとも 完全に一致した。

なぜ つも形があるのか。 を使って、 を行き来できるからだ。中身は同じ、見た目が違うだけ。

使い分けの指針。

  • だけが分かっている → 形3()
  • だけが分かっている → 形2()
  • 両方分かっている / 積分で使う → 形1()

「与えられた情報で書ける形」を選ぶ。 今回は が与えられているので、形3が最短だった。

さて、答えの検証をしよう。 つの方法で確かめる。

検証1: か?

ぴったり 相互関係は、どんな角でも成り立つ — でも成り立つはずだから、これは強力な検算になる。

(-- という直角三角形の比が現れた! -- 倍角から、新しいピタゴラス数が生まれたのは面白い。)

検証2: はどの象限にいるか?

から、

象限だ。 ということは のはず。

符号が合っている。 さらに、 に近いので、 に近く( ✓)、 に近い( ✓) — 値の大きさも妥当だ。

が第 象限だから、 も第 象限」とは限らない。

もし (第 象限)なら、 で第 象限になる。角を 倍すると、象限が変わりうる — この落とし穴に注意したい。

の象限を、値から確かめる」 — 計算した の符号が、 の位置と整合しているか。この確認が、答えの信頼性を保証する。

ポイント

  • 先に を相互関係で(符号は象限)。

よくある間違い

  • としてしまう(正しくは )
  • の符号を確認せずに負にしてしまう(第1象限なので正)
  • の3つの形を混ぜて使い、 を取り違える