数学II / 三角関数
2倍角の公式
問題
は第1象限の角で、 とする。 と の値を求めよ。
ヒントを見る
や を の ・ で表す変形を思い出そう。そのために、まず足りない を相互関係から出す(符号は象限から)。
解答・解説
方針
まず を相互関係で出す(第1象限なので正)。2倍角の公式 、 に入れる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 倍角の公式を使う。
は与えられている。 が要る。
まず を求める。 相互関係から
第 象限なので 。
あとは代入するだけ。
には つの形がある — どれを使ってもよいが、与えられている値()で書ける形を選ぶのがコツだ。
まず 。第1象限なので正で
:
:
発展 — 一歩先へ。 倍角の公式を逆に読むと、積分で不可欠な「次数下げ」の道具になる。
( 次)が、( 次)に化けた。
なぜこれが重要か。 は、そのままでは計算できない。しかし
次数を下げれば、積分できる。 数IIIの積分で、この変形は何十回と使うことになる。
同じ発想で、 も も積分できる( 回、 回と次数下げを繰り返す)。
そして、この「次数下げ」は、物理でも決定的だ。
交流電流の"実効値"。 家庭のコンセントは「 V」だが、実際の電圧は
と振動していて、瞬間ごとに変わる( V から V まで)。では「 V」とは何か。
電力は に比例する。 その平均をとると
( の平均が になるのは、 で の平均が だから!)
コンセントの「 V」は、 の平均が であることから来ている。
倍角の公式が、家庭の電圧の定義を支えている。 数学の公式は、教室の外で、静かに働き続けている。
、
別解
の つの形が、本当に全部同じ値になるか確かめよう。 そして、答えの妥当性を「 がどこにいるか」で検証する。
の つの顔。
つとも計算してみる。(、)
形1:
形2:
形3:
つとも ✓ 完全に一致した。
なぜ つも形があるのか。 を使って、 と を行き来できるからだ。中身は同じ、見た目が違うだけ。
使い分けの指針。
- だけが分かっている → 形3()
- だけが分かっている → 形2()
- 両方分かっている / 積分で使う → 形1()
「与えられた情報で書ける形」を選ぶ。 今回は が与えられているので、形3が最短だった。
さて、答えの検証をしよう。 つの方法で確かめる。
検証1: か?
ぴったり 。 相互関係は、どんな角でも成り立つ — でも成り立つはずだから、これは強力な検算になる。
(-- という直角三角形の比が現れた! 。-- の 倍角から、新しいピタゴラス数が生まれたのは面白い。)
検証2: はどの象限にいるか?
、 から、。
第 象限だ。 ということは 、 のはず。
符号が合っている。 さらに、 は に近いので、 は に近く( ✓)、 は に近い( ✓) — 値の大きさも妥当だ。
「 が第 象限だから、 も第 象限」とは限らない。
もし (第 象限)なら、 で第 象限になる。角を 倍すると、象限が変わりうる — この落とし穴に注意したい。
「 の象限を、値から確かめる」 — 計算した 、 の符号が、 の位置と整合しているか。この確認が、答えの信頼性を保証する。
ポイント
- 先に を相互関係で(符号は象限)。
- 、。
よくある間違い
- としてしまう(正しくは )
- の符号を確認せずに負にしてしまう(第1象限なので正)
- の3つの形を混ぜて使い、 と を取り違える