数学II / 三角関数
三角不等式(基本)
問題
のとき、不等式 を解け。
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は単位円の横の座標。まず等号になる境目の角を求め、円周上で条件を満たす部分がどこからどこまでかを塗ってみよう。範囲が つに分かれることに注意。
解答・解説
方針
単位円で、 座標(=)が より大きい点の範囲をさがす。境界は となる角。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 不等式も、まず等号のとき(方程式)を解く。それが境目になる。
この つが境界。 あとは「どちら側が か」を決める。
単位円で考える。 は 座標。
垂直線 より、右側にある点。 それは円の右端の部分(弧)だ。
その弧に対応する角は、 の付近( より小さい角と、 より大きい角)。
をまたぐので、答えが つに分かれる — ここが急所だ。
は単位円の 座標。 は、 座標が より右にある点。
境界 は (第1象限)と (第4象限)。
座標が大きい(右寄りの)角は、 の近くと の近く。よって
発展 — 一歩先へ。 三角不等式の解が「 つの範囲に分かれる」現象は、周期関数ならではの特徴である。
次不等式なら、解は「 つの区間」か「 つの外側」のどちらかだった。
三角不等式では、周期性のせいで解が"繰り返し"現れる。
範囲を ( 周期分)に広げたら、どうなるか。
の解は
つの範囲に増えた。 範囲を広げるほど、解の"島"が増えていく。
一般解として書くなら
「 ごとに、同じ形の島が並ぶ」 — これが周期関数の解の姿だ。
この構造は、現実の問題に直結する。
「潮位が m を超えるのは、 日のうち何時間か?」
潮の満ち引きは、およそ 波で近似できる。潮位が基準を超える時間帯は、周期的に繰り返し現れる — まさに三角不等式の解だ。
「日照時間が 時間を超える季節は?」 — 太陽高度も、 年周期の三角関数で近似できる。
「交流電圧が V を超える割合は?」 — 交流は 波そのもの。
周期的な現象を扱う限り、「どの範囲で条件が成り立つか」は、必ず三角不等式になる。
そして答えは、必ず「周期的に繰り返す島の集まり」の形をしている。 つに分かれた答えを見て「変だ」と思わないこと — それが、波の世界の当たり前の姿なのだ。
または
別解
グラフで解けば、答えが つに分かれる理由が"見える"。 単位円で混乱したら、こちらに切り替えよう。
グラフルート: と を、同じ図に描く。
で、 のグラフは
- で (最大)
- で (最小)
- で に戻る
「 から下がって、 まで行き、また に戻る」 — U字を逆さにしたような、なめらかな谷の形だ。
水平線 を引くと、 点で交わる。
「グラフが水平線より上にある範囲」を読む。
- 左端( 付近): グラフは から始まるので、線より上 ✓
- で線と交わり、下へ潜る
- 谷底()を通り、また上がってくる
- で線を上に突き抜ける
- 右端( 付近): また線より上 ✓
「上にある」のは、両端の か所。 真ん中(谷の部分)は、線より下だ。
グラフを見れば、「なぜ つに分かれるのか」が明白だ。 谷が真ん中にあるから、上にある部分が両端に分断される。
単位円とグラフ、どちらを使うか。
この問題では、グラフのほうが分かりやすい。 単位円だと「 の前後」で角が と に分かれるのが、直感的につかみにくい。
しかし の不等式なら、単位円も強い。 なら、水平線より上の弧 — つながった つの範囲()になり、分断されない。
つの道具を、状況で使い分ける。
境界の扱いにも注意しよう。
だから と は、答えに含まない(不等号は 、 のまま)。
一方、左端の は含む( と書く)。なぜか。 ✓ — は、ちゃんと不等式を満たしている。 範囲の端()であって、不等式の境界ではないからだ。
「不等式の境界」と「問題文の範囲の端」は、別物である。 混同して と書いてしまうと、 という正しい解を落とすことになる。細かいが、確実に減点される場所だ。
ポイント
- は 座標。 は右寄りの角。
- 境界の角を求め、単位円で範囲を読む。
よくある間違い
- 答えが2つの範囲に分かれることに気づかず、片方だけ書く
- 境界の 、 を含めてしまう(不等号は なので含まない)
- を除いてしまう( なので、 は解に含まれる)