数学II / 三角関数

三角不等式(基本)

★ 基礎三角不等式

問題

のとき、不等式 を解け。

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は単位円の横の座標。まず等号になる境目の角を求め、円周上で条件を満たす部分がどこからどこまでかを塗ってみよう。範囲が つに分かれることに注意。

解答・解説

方針

単位円で、 座標(=)が より大きい点の範囲をさがす。境界は となる角。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 不等式も、まず等号のとき(方程式)を解く。それが境目になる。

この つが境界。 あとは「どちら側が か」を決める。

単位円で考える。 座標。

垂直線 より、右側にある点。 それは円の右端の部分(弧)だ。

その弧に対応する角は、 の付近( より小さい角と、 より大きい角)。

をまたぐので、答えが つに分かれる — ここが急所だ。

重要三角不等式は単位円で、条件( 座標が 超)を満たす角の範囲を読む

は単位円の 座標。 は、 座標が より右にある点。

境界 (第1象限)と (第4象限)。

座標が大きい(右寄りの)角は、 の近くと の近く。よって

xyOπ/35π/3
x座標が 1/2 より大きい角の範囲(境界 π/3・5π/3)

発展 — 一歩先へ。 三角不等式の解が「 つの範囲に分かれる」現象は、周期関数ならではの特徴である。

次不等式なら、解は「 つの区間」か「 つの外側」のどちらかだった。

三角不等式では、周期性のせいで解が"繰り返し"現れる。

範囲を ( 周期分)に広げたら、どうなるか。

の解は

つの範囲に増えた。 範囲を広げるほど、解の"島"が増えていく。

一般解として書くなら

ごとに、同じ形の島が並ぶ」 — これが周期関数の解の姿だ。

この構造は、現実の問題に直結する。

「潮位が m を超えるのは、 日のうち何時間か?」

潮の満ち引きは、およそ 波で近似できる。潮位が基準を超える時間帯は、周期的に繰り返し現れる — まさに三角不等式の解だ。

「日照時間が 時間を超える季節は?」 — 太陽高度も、 年周期の三角関数で近似できる。

「交流電圧が V を超える割合は?」 — 交流は 波そのもの。

周期的な現象を扱う限り、「どの範囲で条件が成り立つか」は、必ず三角不等式になる。

そして答えは、必ず「周期的に繰り返す島の集まり」の形をしている。 つに分かれた答えを見て「変だ」と思わないこと — それが、波の世界の当たり前の姿なのだ。

または

別解

グラフで解けば、答えが つに分かれる理由が"見える"。 単位円で混乱したら、こちらに切り替えよう。

グラフルート: を、同じ図に描く。

で、 のグラフは

  • (最大)
  • (最小)
  • に戻る

から下がって、 まで行き、また に戻る」 — U字を逆さにしたような、なめらかな谷の形だ。

水平線 を引くと、 点で交わる。

「グラフが水平線より上にある範囲」を読む。

  • 左端( 付近): グラフは から始まるので、線より上
  • で線と交わり、下へ潜る
  • 谷底()を通り、また上がってくる
  • で線を上に突き抜ける
  • 右端( 付近): また線より上 ✓

「上にある」のは、両端の か所。 真ん中(谷の部分)は、線より下だ。

グラフを見れば、「なぜ つに分かれるのか」が明白だ。 谷が真ん中にあるから、上にある部分が両端に分断される。

単位円とグラフ、どちらを使うか。

この問題では、グラフのほうが分かりやすい。 単位円だと「 の前後」で角が に分かれるのが、直感的につかみにくい。

しかし の不等式なら、単位円も強い。 なら、水平線より上の弧 — つながった つの範囲()になり、分断されない。

つの道具を、状況で使い分ける。

境界の扱いにも注意しよう。

だから は、答えに含まない(不等号は のまま)。

一方、左端の は含む( と書く)。なぜか。 ✓ — は、ちゃんと不等式を満たしている。 範囲の端()であって、不等式の境界ではないからだ。

「不等式の境界」と「問題文の範囲の端」は、別物である。 混同して と書いてしまうと、 という正しい解を落とすことになる。細かいが、確実に減点される場所だ。

ポイント

  • 座標。 は右寄りの角。
  • 境界の角を求め、単位円で範囲を読む。

よくある間違い

  • 答えが2つの範囲に分かれることに気づかず、片方だけ書く
  • 境界の を含めてしまう(不等号は なので含まない)
  • を除いてしまう( なので、 は解に含まれる)