数学II / 三角関数
三角関数の性質
問題
次の値を、 の三角関数を使って表せ。
(1)
(2)
(3)
ヒントを見る
丸暗記に頼らず、単位円で考えよう。、、 の点は、もとの の点をそれぞれどう対称移動した位置にあるか。図を見れば符号も込みで読める。
解答・解説
方針
単位円で、角をずらしたときに点がどう動くかを考える。、、 での対称移動を使うと符号と関数が決まる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 三角関数の性質(公式)は つも つもあって、覚えきれない。単位円の対称性で読むのが正解だ。
基本の点 を、単位円に打つ( とする)。
(1) — これは 軸に関する対称点( が反転)。
(2) — これは 原点対称( も も反転)。
(3) — これは 軸対称( が反転)。
公式を覚えるのではなく、点がどこへ移るかを見る。
単位円での対称移動から、それぞれ次のようになる。
(1) は 軸に関する対称なので は変わらない。
(2) は原点に関する対称なので は符号が変わる。
(3) は 軸に関する対称なので は符号が変わる。
発展 — 一歩先へ。 、 という性質には、名前がついている。
- 奇関数: → 原点対称なグラフ(、、、)
- 偶関数: → 軸対称なグラフ(、、)
「奇」「偶」の名は、 の の偶奇に由来する。 (奇数乗)は奇関数、(偶数乗)は偶関数だ。
この分類が、積分で絶大な威力を発揮する。
奇関数を、原点対称な区間で積分すると、必ず 。 左半分と右半分が、符号違いで打ち消し合うからだ。
偶関数なら、半分だけ計算して 倍すればよい。
「対称性を見抜いて、計算を省く」 — 数IIIの積分では、この判断が時間を大きく左右する。
そして、この対称性は物理でも重要だ。
量子力学では、波動関数の「パリティ(偶奇性)」が保存される。粒子が奇関数的か偶関数的かで、起こりうる反応が決まる — 対称性が、自然法則を制限している。
「 は奇関数、 は偶関数」 という何気ない事実。それは、単位円を 軸で折り返したときに、 座標だけが反転する、という単純な観察から来ている。
単純な観察が、深い法則につながる。 数学の面白さは、いつもそこにある。
(1) (2) (3)
別解
もし公式を「覚える」なら、 つの機械的なルールにまとめられる。 単位円が使えないとき(暗算したいとき)の保険として、知っておくとよい。
ルール1: 「」「」では、関数名は変わらない。
符号だけが変わる可能性がある。
ルール2: 符号は、「 を鋭角だと思って、移った先の象限を見る」。
具体的にやってみよう。
(1)
を鋭角(たとえば )とすると、 は第 象限。
第 象限で は正。 だから符号は 。
(2)
は第 象限。
第 象限で は負。 だから符号は 。
(3)
は第 象限。
第 象限で は負。 だから符号は 。
「関数名そのまま、符号は移った先の象限で決める」 — この ステップで、すべての公式が再現できる。
ただし、例外がある。「」のときは、関数名が変わる。
と が入れかわる。
なぜか。()は「軸を 回す」ことに対応し、 軸と 軸が入れかわるからだ。 座標()と 座標()が交代する。
まとめ。
| 角 | 関数名 | 符号 |
|---|---|---|
| 、、 | そのまま | 象限で決める |
| 入れかわる() | 象限で決める |
の"奇数倍"なら入れかわり、"偶数倍"ならそのまま — と覚えてもよい( は偶数倍だからそのまま)。
それでも、いちばん確実なのは単位円だ。 試験中に迷ったら、円を描いて点を打つ。 秒で済むし、絶対に間違えない。
公式は「速く解くための道具」であって、「思い出せないと解けないもの」ではない。 単位円という原理を持っていれば、公式は忘れてもよいのだ。
ポイント
- =軸対称、=原点対称、=軸対称。
- 対称移動で / の符号が決まる。
よくある間違い
- の符号を負にしてしまう(第2象限で は正)
- と を取り違える
- でも関数名が変わらないと思ってしまう( と が入れかわる)