数学II / 三角関数

三角関数の値(単位円)

★ 基礎三角関数の定義

問題

のとき、 の値を求めよ。

ヒントを見る

まず単位円をかいて、この角の点がどの象限に来るかを確認する。座標のどちらが でどちらが かさえ思い出せば、符号のミスも防げる。

解答・解説

方針

単位円の上で、角 (=)の位置の点をとる。その点の 座標が 座標が

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 三角関数の値は、単位円の上の点の座標として読む。

の点は、単位円の左上(第 象限)にいる。

軸から 回った点 — それは の点()を、 軸で折り返した点だ。

だから

は、

単位円に点を打てば、符号も値も同時に決まる。

公式単位円上で、角 の点の座標が

は第2象限。基準となる角( 軸とのなす角)は なので、 の大きさは と同じで、符号を象限で決める。

第2象限は が正、 が負なので

は割り算。

xyOθ(-1/2, √3/2)
単位円で θ=2π/3 の点は (-1/2, √3/2)

発展 — 一歩先へ。 「三角比」から「三角関数」への拡張は、定義を根本から作り直す大きな一歩だった。

中学・数Iの三角比: 直角三角形の辺の比

この定義では、 でしか意味がない。 直角三角形の鋭角しか扱えないからだ( の直角三角形など存在しない)。

数IIの三角関数: 単位円上の点の座標

この定義なら、 はどんな実数でもよい。 でも、 でも、 でも、単位円の上に点は打てる。

定義を広げても、古い値は変わらない — これが重要だ。 は、直角三角形で測っても単位円で測っても である。拡張は、既存の知識を壊さない。

この「定義の拡張」というパターンは、数学の随所に現れる。

元の定義 拡張後 拡張の鍵
( は自然数)= 回掛ける 指数法則を保つように決める
( は自然数) 公式が成り立つように決める
三角比(鋭角) 三角関数(すべての角) 単位円で定義し直す
実数 複素数 の解を追加する

「今まで通用していたルールが、拡張後も成り立つように定義する」 — これが数学の拡張の作法だ。 も、そう決めると全部つじつまが合うから、そう決めている。

そして拡張すると、新しい世界が見える。

三角関数を単位円で定義し直したことで、周期性(グラフが波になる)という性質が現れた。三角比のままでは、 が波だとは気づけない。

波は、この世界の基本形だ。 音、光、電波、量子力学の波動関数 — すべて三角関数で記述される。

単位円に点を打つ、という小さな一歩。 それが、波の数学への扉を開いた。

別解

三角定規を使う方法を紹介する。値を丸暗記しなくても、絵を描けばその場で作れる。

の点を作る手順。

手順1: 単位円を描き、 の方向に線を引く。 象限(左上)だ。

手順2: その点から 軸に垂線を下ろす。 すると直角三角形ができる。

手順3: この三角形の角度を読む。 軸の負の方向とのなす角は

-- の三角定規が現れた!

手順4: 三角定規の辺の比を思い出す。

単位円なので斜辺(半径)は 。だから

  • 横の辺( 軸方向)
  • 縦の辺( 軸方向)

手順5: 符号をつける。 象限なので、 は負、 は正

「大きさは三角定規、符号は象限」 — この 段階で、どんな角の値も作れる。

象限と符号の対応を、表で押さえておこう。

象限 位置 () ()
右上
左上
左下
右下

覚え方はいろいろあるが、「 座標が 座標が 」に立ち返れば、表を覚える必要はない。 図を描いて、点がどの部屋にいるかを見るだけだ。

の符号は、 の符号 — 分子と分母の符号が同じなら正、違えば負。第 象限は ✓。

には、もう つの見方がある。

の方向に引いた直線の傾き — それが だ。左上へ向かう急な直線 — 傾きが負で、絶対値が大きい。図と一致する ✓

を「傾き」と読むと、 が定義されない理由も分かる。 の方向は真上(垂直な直線)傾きが定義できないのだ。

単位円という 枚の絵が、 のすべてを語っている。 迷ったら、円を描く。

ポイント

  • 単位円の点の座標 =
  • 大きさは基準角で、符号は象限で決める。

よくある間違い

  • 第2象限なのに を正にしてしまう( 座標が負)
  • を取り違える( 座標、 座標)
  • の符号を、 の符号から確認せずに答える