数学II / 軌跡と領域

円板の像(2乗の写像)

最難関編領域の像全射の確認

問題

実数 を満たしながら動くとき、点 の動く範囲を求め、図示せよ。

ヒントを見る

まず を計算してみる — きれいな恒等式にまとまらないか。それで「入る」ことは言えるが、「範囲を求めよ」に答えるには足りない。目標の点から逆に を作れるか。

解答・解説

方針

恒等式 (x²−y²)²+(2xy)²=(x²+y²)² から、像の原点からの距離はもとの距離の2乗 — 像は単位円板に入る。逆に円板のどの点にも届くこと(全射)は、目標 (X,Y) から x², y² を復元する連立を解いて原像を実際に作って示す。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 まず像の位置を測る。 を計算すると

という恒等式にまとまる。像の原点からの距離は、もとの点の距離の2乗だ。 なら像は単位円板に入る(必要方向)。

だが「動く範囲」を答えるには、円板のどの点にも実際に届くこと(十分方向)が要る。こちらは目標 から を復元する連立(和と差)を解いて、原像を手で作ればよい。

重要。範囲を求める問題は「入る(必要)」と「届く(十分)」の両方向で確定する

① 入ること。 上の恒等式から 。よって像は に含まれる。

② 届くこと(原像の構成)。 の任意の点 をとり、 とおく()。連立

を解くと だからどちらも0以上で、実数 がとれる。 とし、 の符号を と同符号に選ぶと

となり、たしかに にうつる。しかも で、出発点は円板の中にある。

③ 結論。 動く範囲は単位円板 の全体。

XYOr=0.7 の円の像
像は単位円板全体(色部分)。半径 r の円は半径 r² の円にうつるので、0≤r≤1 のすべての円が円板を埋め尽くす

まとめ: 恒等式で「入る」、逆像の構成で「届く」。領域の像は、必ずこの両方向で仕留める。この写像は半径 の円を半径 の円へうつす(角も2倍に回る)もので、円板が円板へぴったり畳み込まれる様子が恒等式1本に凝縮されている。

発展 — 一歩先へ。 複素数の言葉では、この写像は に対する そのものだ()。数Cで複素数平面を学ぶと、「絶対値は2乗、偏角は2倍」という本問の構造が、 の基本性質として再会する。

単位円板 の全体

別解

極形式(倍角)で正体を見る(順手ルート)。 点を極形式 ()で書いて、像を直接計算する。

倍角の公式から

つまり像の点は「原点からの距離 、角 」の位置にある。距離は2乗され、角は2倍に回る写像だったのだ。

範囲は一目で読める。 から を動くと距離 から を動き、 が1周すると角 は2周する(すべての方向を覆う)。よって像は単位円板の全体。

「入る・届く」の2方向(本解)が、極形式では「距離と角の動く範囲」という1つの記述に融合する。座標の取り替えは、証明の骨格まで変えてしまう。

ポイント

  • (入る)。
  • で原像を構成(届く)。
  • 範囲は単位円板全体。

よくある間違い

  • 「入る」(必要)だけ示して答える。範囲を求める問題は「届く」(全射)の確認までがセット。
  • 原像の構成で の根拠()を書かない。
  • の符号の選び方( と同符号)を曖昧にする。 の符号が に合うのはこの選択のおかげ。