数学II / 軌跡と領域
帯状の領域
問題
不等式 の表す領域を図示せよ。
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絶対値の不等式を、まず絶対値なしの形に直す。 の条件が無いことは何を意味するか — 領域が縦にどこまでも伸びる理由を考えよう。
解答・解説
方針
は と同じ。 には条件がないので、 がこの範囲にある縦の帯全体が領域。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 — 絶対値は、 からの距離である。
数直線で考えると、 と のあいだ。
ここで、重要な確認をする。 についての条件は、 つもない。
ということは、 はどんな値でもよい。 でも でも、 が と のあいだにありさえすれば、条件を満たす。
だから領域は、縦方向に無限に伸びる「帯」になる。
本の縦線 、 にはさまれた、縦に無限の帯状の部分(境界は含まない、破線)。
「 の条件がない は自由」 — これを見落として、線分や長方形を描いてしまうのが典型的なミスだ。
は と同じ。 には制限がないので、 がこの範囲にありさえすればよい。
よって2直線 と ではさまれた、縦の帯が領域。境界は含まない(破線)。
発展 — 一歩先へ。 絶対値 は「原点からの距離」だった。では は?
点間の距離である。だから
数直線で、 を中心に左右 ずつ。 場合分けをせずに、 秒で答えが出る。
この「距離として読む」感覚が、極限の定義で決定的な役割を果たす。
数IIIで学ぶ極限 の厳密な定義は、こうだ。
絶対値だらけだが、距離として読めば意味が見える。
- → 「 が に、 より近い」
- → 「 が に、 より近い」
「 を に十分近づければ、 は にいくらでも近くなる」 — これが極限の意味だ。
絶対値は、「近さ」を測る道具である。 という不等式に色を塗る作業は、この感覚を養っている。
数学のあらゆる場面で「近い」を扱うとき、絶対値(あるいはその一般化である"ノルム")が顔を出す。 誤差、収束、近似 — すべて「距離が小さい」の言い換えなのだ。
の帯状の部分(境界を含まない)
別解
絶対値を、場合分けで外してみる。 そして「絶対値記号の扱い方」を、 つの型に整理しておこう。この単元だけでなく、あらゆる場面で使う。
場合分けで外す。
のとき: なので
と合わせて、。
のとき: なので
と合わせて、。
つを合わせる。
「距離で読む」ルートと同じ答え。 ただし場合分けは手間がかかる。
絶対値の外し方、 つの型。
型1: 距離として読む(最速)
「 ならはさむ、 なら外側に飛ぶ」 — この 行を覚えれば、単純な絶対値は一瞬で外れる。
型2: 場合分け(確実)
中身の符号で場合分けする。 どんな複雑な式でも通用するが、時間がかかる。
型3: 乗する( 乗が使える形のとき)
両辺とも 以上なので、 乗しても同値。 → → ✓
のような形では、この 乗が特に効く( → )。
さて、この領域が「帯」になることを、もう 度確かめよう。
点 : ✓ → 領域内( がどんなに大きくても関係ない)
点 : 同じく ✓ → 領域内
点 : ? → 偽 → 領域外
座標だけで、すべてが決まっている。
もし条件が だったら? 今度は横方向の帯(、左右に無限)になる。
もし かつ だったら? つの帯の共通部分 — 辺 の正方形(の内部)である。
「条件のない変数は、自由に動く」 — 領域の問題では、この視点が決定的に重要だ。式に出てこない文字にこそ、注意を払う。
ポイント
- → 。 自由なら縦の帯。
- なら横の帯になる。
よくある間違い
- の条件がないことを見落とし、線分や長方形を描いてしまう(縦に無限の帯)
- を だけにする(負の側 も必要)
- の場合と混同する( ははさむ、 は外側に分かれる)