数学II / 複素数と方程式

虚数解の絶対値の評価

最難関編解と係数の関係共役複素数

問題

3次方程式 は、ただ1つの実数解 と、互いに共役な2つの虚数解 をもつ。

(1) であることを示せ。

(2) であることを示せ。

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を求めることはできないのに を評価せよ、という問い。 の積は何を意味するか — 3解の積が定数項から読めることと合わせると、 の情報を実数解 が握っていることが見えてくる。

解答・解説

方針

(2)の |β| は直接求められない(3次は解けない)。実係数方程式の虚数解は共役ペアで ββ̄=|β|²、そして解と係数の「積」から α|β|²=−1。つまり |β| の評価は α の範囲評価(1)に帰着する。(1)は端点での符号と単調性で。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 3次方程式は(公式はあるが)実用的には解けない。それでも を評価できるのは、実係数方程式の虚数解が共役ペアで現れるからだ。

は正の実数。解と係数の関係の「3解の積」 から 。つまり、虚数解の絶対値は実数解 が握っている。

あとは の範囲(1)を、端点の符号(値の正負が入れ替わる区間に解がある)で押さえればよい。

重要実係数3次の解は 。積 が定数項から読める — 虚数解の絶対値は実数解に帰着する

① (1) を示す。 とおくと

の値は の間で負から正へ変わるから、この間に実数解がある。さらに なら かつ なので は増加関数であり、実数解はただ1つ。よってそれが で、

xyO(−1, −1)(0, 1)-1
y=x³+x+1 は増加し、f(−1)=−1<0、f(0)=1>0 — 実数解 α はこの間にただ1つ

② 積の関係を取り出す。 解と係数の関係より だから

③ (2) を示す。 より だから

よって

まとめ: 「求められない解の絶対値は、対称式(積)経由で実数解に押しつける」。(1)の範囲評価がそのまま(2)の絶対値評価になる連鎖が本問の設計で、実係数ならではの共役ペア が橋になっている。

発展 — 一歩先へ。 3解の絶対値の積は 。「絶対値の積=定数項の絶対値」という見方をすると、 が積1を通じてシーソーのように釣り合っていることが分かる。片方が小さいほど、もう片方は大きい。

(1) と単調増加による(証明) (2)

別解

割り算で2次因子を出す(範囲評価が要らないルート)。 実は(1)の範囲を使わずに、(2)をもっと強い形で出せる。

で割る(組立除法)。 を使うと、割り切れて

(検算: 定数項は ✓。)

虚数解 は後ろの2次式の解だから、解と係数の関係で

は実数で、 から 。よって

一瞬で終わった。 には (本解)と (本ルート)の2つの顔があり、両者が等しいこと自体が の言い換えになっている。表示の選び方ひとつで、必要な情報量( の範囲の要・不要)まで変わる好例だ。

ポイント

  • と単調増加で 、実数解は1つ。
  • (3解の積)。

よくある間違い

  • (1)で「実数解はただ1つ」の根拠(増加性)を書かない。 も増加だから和も増加、の一言。
  • 3解の積の符号を誤って とする。
  • から に移るとき、平方根の単調性(正の数どうし)に触れない。