数学II / 複素数と方程式

2解の絶対値がともに1未満になる条件

最難関編解の配置必要十分条件

問題

を実数とし、 とおく。 の2次方程式 の2つの解(重解・虚数解の場合も含める)の絶対値がともに1より小さいための必要十分条件は

であることを示せ。

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虚数解のとき、2つの解の絶対値は何で決まるか — 共役どうしの積を思い出す。実数解のとき、 だけでは両解が区間に入るとは言えない(両方とも右外、があり得る)— それを締め出すのはどの条件か。

解答・解説

方針

実数解と虚数解で「絶対値」の様子が違うので場合分けが必然。虚数解は共役ペアで |解|²=b — 積だけで決まる。実数解は区間 (−1,1) への配置の問題で、f(±1) の符号と b<1 から外側のケースを1つずつ追い出す。両方向(必要・十分)を示す。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 「絶対値が1未満」は、実数解なら区間 への配置、虚数解なら複素数の絶対値 — 意味が違うから場合分けが必然だ。

虚数解は共役ペア で、(解と係数)。積 だけで決まる。

実数解は端点の符号 で配置を絞る。ただし だけだと「両解とも1より右」「両解とも より左」が生き残る。それを締め出すのが (積の大きさ)だ。必要・十分の両方向を、この設計図に沿って詰める。

重要虚数解ペアの絶対値の平方 = 積 。実数解の配置は の符号で絞り、積 で「両方とも外側」を追い出す

① 虚数解の場合()。 解は で、。よって「絶対値がともに1未満」⟺ 。一方このとき は常に成り立つ。したがってこの場合、「絶対値1未満」⟺「3条件」— 同値である。

② 実数解の場合()— 必要性。 2つの実数解 がともに にあるなら

(積は絶対値1未満の2数の積だから絶対値1未満。)

③ 実数解の場合 — 十分性。 3条件を仮定する。もし なら: に反する。 なら だから 、つまり 。すると となり に反する。よって 。同様に とすると から が強制され、 で矛盾。よって — 両解の絶対値は1未満。

xyOf(1)>0f(−1)>0-11
実数解の場合の配置: 両解が −1 と 1 の間 ⟺ f(±1)>0 かつ積 b<1(図は a=−0.5, b=−0.3 の例)

④ 結論。 どちらの場合も「絶対値がともに1未満」⟺「」であり、必要十分条件であることが示された。

まとめ: 「虚数解は積が絶対値を握る()」「実数解は端点の符号+積で両外側を追い出す」。2つの世界を同じ3条件が同時に仕切っているのが、この問題の美しさだ。

発展 — 一歩先へ。 この3条件は、漸化式 で決まる数列が必ず0に近づくための条件そのものでもある(解の絶対値が1未満 ⟺ 減衰)。デジタル制御や信号処理で「安定条件」と呼ばれ、現役で働いている数学だ。

証明(虚数解なら 、実数解なら端点の符号と積で配置を締める)

別解

平面の三角形で見る(領域の絵)。 3つの条件を の言葉に直すと

前の2つは かつ 、まとめて 。つまり点

  • 直線 より上
  • 直線 より上
  • 直線 より下

の3つを同時に満たすこと。これは頂点 の三角形の内部だ。

abO(0, −1)(2, 1)(−2, 1)f(1)=0f(−1)=0b=1
3条件の表す領域は、頂点 (0,−1), (2,1), (−2,1) の三角形の内部。2次方程式の両解の絶対値が1未満 ⟺ 係数の点 (a,b) がこの中にいる

「2次方程式の解の絶対値がともに1未満」⟺「係数の点が、この三角形の中にいる」。条件が図形になった瞬間、境界の意味も見える。下の2辺の上では が解になり、上の辺の上では絶対値1の虚数解(または積1の実数解)をもつ。三角形は、ぎりぎりの解たちで縁取られている。

ポイント

  • 虚数解: で決まり、 は自動成立。
  • 実数解(⇐): で「両方右外」を、 で「両方左外」を排除。
  • 両場合とも3条件と同値。

よくある間違い

  • 実数解の場合に だけで両解が区間内と早合点する。「両方とも右外」の可能性が残っており、 が締め出す。
  • 虚数解の場合を場合分けから落とす。絶対値の意味(複素数の絶対値)ごと変わるので、独立に扱う。
  • 必要性か十分性の片方だけ示して閉じる。「必要十分」は両方向の証明がそろって完成。