数学II / 複素数と方程式

負の数の平方根

★★ 標準負の数の平方根

問題

次を計算せよ。

(1)

(2)

ヒントを見る

根号の中が負のときは、計算を始める前に を外へ出しておくのが鉄則。先に根号どうしを掛け合わせると符号を間違える — この問題はまさにその罠を突いてくる。

解答・解説

方針

()は、先に に直してから計算する。直さずに の中どうしをかけると符号を間違える。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 ()を見たら、計算の前に へ直す。これが鉄の掟だ。

という規則は、中身が負の数では使えない。直さずに中身どうしを掛けると、符号が逆の誤答に落ちる。

に直してしまえば、あとは の普通の計算。「まず をくくり出す」を反射にする。

公式 のとき 。負どうしは先に を出す()

(1) それぞれ を出してからかける。

もし先に中どうしをかけて とすると、符号がちがってしまう。負の数の平方根は、必ず先に を出す。

(2) こちらも先に を出す。

どうしが約分され、中身だけの割り算になる。

発展 — 一歩先へ。 「便利な規則には適用条件がある」という教訓は、複素数に限らない。(正しくは )、(真数が正のとき)など、条件を忘れた瞬間に事故る規則は数学中にある。

なぜ負の中身で壊れるのか。根本の理由は、複素数の世界では平方根が2つあって「どちらを と呼ぶか」の首尾一貫した選び方が難しくなるからだ。数学Cで偏角を学ぶと、この事情がすっきり言葉にできる。

(1) (2)

別解

「どの規則が、どこまで使えるか」を整理しておくと、この問題の意地悪さが見通せる。

が保証されるのは、 がともに 以上のときだけだ。

  • (1) 負 × 負: 規則の適用外。 に直すと 。中身を掛けた とは符号が逆になる。
  • (2) 負 ÷ 負: これも適用外だが、 に直すと が約分され、結果 は中身を割った と偶然一致する。

「(2)は中身の計算でも合うから」と規則を信じると、(1)で裏切られる。一致するかどうかが場合による以上、規則の外では常に 経由で計算する、が唯一の安全策である。

ポイント

  • ()を必ず先にやる。
  • 負×負の平方根は の中をかける前に を出す。

よくある間違い

  • とする(正しくは )
  • (2)が中身の割り算と一致したことから、(1)でも規則が使えると誤信する
  • と混同する()