数学II / 複素数と方程式
1の3乗根 ω
問題
3次方程式 の虚数解の1つを とするとき、次を確かめよ。
(1)
(2)
ヒントを見る
を と直して因数分解してみよう。 は虚数解だから、どちらの因数から生まれるか。それが分かれば(1)は即答、(2)は(1)を使って示せる。
解答・解説
方針
を因数分解すると 。虚数解 は の解 — これが(1)。(2)は が の解であることそのもの。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 の解は、 だけではない。 次方程式だから、解は つある。
まず因数分解する。
(実数解)と、 の 解(虚数解)。
は、この虚数解のほうである。だから
これが(1)の答えだ。 が の解であることから、直ちに従う。
そして は の解でもあるから
これが(2)。
の性質は、この 本ですべてだ。( 乗すると )と、(足すと )。この 本を使い分けるのが、 の問題の急所である。
すなわち を因数分解する。
(1) は虚数解だから、実数解 ではなく、 のほうの解。よって
(2) はもともと の解なので
(この には と という2つの便利な性質があり、高次式の計算で活躍する。)
発展 — 一歩先へ。 の つの性質は、使い分けに戦略がある。
- → 次数を下げるときに使う()
- → 項を消すときに使う( と読みかえる)
典型問題を つ。
まず で次数を下げる。
次に で消す。
つの性質を、順番に使った。 これが の問題の定石である。
は入試の常連だ。 理由は、「 乗すると 」という周期性が、複雑な計算を一瞬で畳み込むから。 のような巨大な指数も、 を使えば で割った余りだけの話になる。
そして、 には隠れた使い道がある。
この、 の倍数だけを拾い出すフィルターは、二項係数の 個おきの和()を求めるのに使える。
は、 で割った余りを"検出"する装置なのだ。 が の周期を、 が の周期を担当する — 複素数は、周期性を捕まえるための網である。
(1)(2)とも成り立つ(解答参照)
別解
の具体的な姿を見て、 つの性質を目で確かめよう。 そして、複素数平面での美しい正体を明かす。
を実際に求める。 を解の公式で解く。
(もう つの解 は、 の共役であり、実は でもある。)
(1) を、直接計算で確かめる。
足してみる。
虚部が打ち消し合い、実部も になった。
(2) も確かめる。
共役どうしの積 — きれいに になった。
さて、複素数平面で見ると、 の正体が現れる。
つの解 、、 を、座標平面に打ってみよう。
点とも、原点からの距離が ()。単位円の上にいる。
そして、角度を見る。
- の偏角:
- の偏角:
- の偏角:
ずつ、きれいに 等分されている!
点を結ぶと、単位円に内接する正三角形になる。
これが「 の 乗根」の幾何的な意味だ。 乗して に戻るということは、 回転を 回で 、つまり 周する、ということ。
の意味も見える。 つのベクトル(正三角形の頂点への矢印)を足すと、ちょうど打ち消し合って になる — 正三角形の重心が原点にあるからだ。「解の和 」が、図形で見えている。
の周期は 。 、、 — 回転を繰り返しているのだから、 回で元に戻る。
の周期が ()だったのと、まったく同じ構造だ。 一般に「 の 乗根」は、単位円を 等分する正 角形の頂点になる。
方程式 の解が、正 角形を描く。 代数の式が、幾何の図形を生む — この事実は、数学史上もっとも美しい発見のひとつである(ガウスは正 角形が定規とコンパスで作図できることを、この理論から証明した)。
ポイント
- 虚数解 は の解 →
- (3乗すると に戻る)
よくある間違い
- を実数解 と混同する
- と の使い分けが曖昧になる
- を「もう1つの虚数解ではない別物」と思ってしまう( は の共役であり、3解のもう1つ)