数学II / 複素数と方程式

複素数の相等

★ 基礎複素数の相等

問題

実数 を満たすとき、 の値を求めよ。

ヒントを見る

まず左辺を展開して『実数の部分 + の部分』に整理する。複素数どうしが等しいのは、実部と虚部がそれぞれ等しいとき — これで実数の連立方程式になる。

解答・解説

方針

左辺を展開して『実部 虚部 』の形にする。複素数が等しい ⇔ 実部どうし・虚部どうしが等しい、から連立方程式を作る。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 複素数の相等とは、「実部どうしが等しく、虚部どうしが等しい」こと。

つの複素数の等式は、実数の等式 本ぶんの情報を持っている。だから、未知数が つでも解ける。

手順は「左辺を の形に整理する」だけ。

が実部に移る — ここを忘れない。

右辺 の実部は (見えていないだけで )。

次の連立方程式になった。複素数の問題が、中学の連立方程式に化けた。

公式複素数の相等 ( 実数) かつ

左辺を展開する。

右辺 は実部 、虚部 。実部・虚部を比べて

第1式より 。第2式に入れて

発展 — 一歩先へ。 「実部と虚部を比べてよい」のは、 が実数だからである。ここは意外に見落とされる。

この推論は、 がすべて実数のときにしか使えない。

なぜか。 もし が複素数でもよいなら、たとえば

のように、同じ数を違う形で書けてしまう( でも でも、どちらも を表す)。これでは「係数を比べる」ことに意味がない。

実数 を使った という表し方は、 通りに決まる(一意性)。この一意性があるからこそ、係数比較が正当化される。

同じ構造は、他の場面にもある。

  • ベクトルの 次独立: 次独立なら、 から が言える
  • 恒等式の係数比較: が任意の実数なら、多項式の係数が一致する
  • の無理性: ( 有理数)なら

共通するのは、 通りにしか表せないという一意性だ。 は、実数の世界から見ると独立した 方向なのである( 次独立、という言葉がそのまま当てはまる)。

係数比較という当たり前の操作の裏に、一意性という保証書がある。 数学では、当たり前に見えるものほど、根拠を確かめておく価値がある。

別解

連立方程式を立てずに、割り算 回で終わらせる。 を求めよ」と読み替えれば、これはただの除法だ。

方程式を、 について解く。

両辺を で割る。

あとは、分母の実数化(前問の技)。 分母の共役 を、分子・分母に掛ける。

だから、実部と虚部を見比べて

連立方程式を解かずに、答えが出た ✓。

どちらのルートを選ぶべきか。

  • 未知数が「 の形にまとまっている」割り算ルートが速い
  • 未知数がバラバラに散らばっている(例: )→ 係数比較ルート

この問題は、 がひとかたまりで掛けられているので、割り算が効く。式の形を見て、道具を選ぶ。

検算は代入で。

ぴったり 実部がきれいに になっている。

「実部が 」という条件の意味。 右辺 純虚数(実部が の複素数)だ。この問題は、実は

と(絶対値の条件を除けば)似た問いになっている。純虚数である、とは実部が ということ — この翻訳が、複素数の問題では頻出する。

  • 実数である虚部が ( とも書ける)
  • 純虚数である実部が 、かつ ( とも書ける)

条件を「実部・虚部の言葉」に翻訳する。 複素数の問題を解くとき、最初にやるべきはいつもこれである。

ポイント

  • 複素数の相等 → 実部・虚部がそれぞれ等しい
  • 左辺を『実部 虚部 』に整理してから比べる
  • 実部・虚部の2式を連立で解く

よくある間違い

  • (実部)への処理を忘れる
  • 右辺 の実部を とする(実部は )
  • が実数であることを使わずに係数比較する(実数だからこそ実部と虚部を分けて比べられる)