数学II / 複素数と方程式
i の累乗
問題
次の値を求めよ。
(1)
(2)
ヒントを見る
を 乗、 乗、 乗、 乗…と順に計算してみよう。すぐに同じ値がくり返し始める。その周期が分かれば、大きな指数も割り算の余りの話になる。
解答・解説
方針
の累乗は の4つがくり返す。指数を で割った余りで決まる。
解答
⓪ 発想 — どう考え始めるか。 を 回掛けるのは無理だ。周期に気づくのが第一手である。
乗すると に戻る。 ということは、そこから先は同じ つが繰り返す。
周期 のサイクル。 だから指数を で割った余りだけを見ればよい。
- 余り →
- 余り →
- 余り →
- 余り →
(1) で余り →
(2) で余り →
(1) で余り 。。
(2) で余り 。。
発展 — 一歩先へ。 「 を掛けると 回転」という事実は、複素数の最も重要な性質だ。数Cで、これが一般化される。
なので、 を掛けるのは 回転の特別な場合だったわけだ。
そして、 乗すると回転が 倍になる。
ド・モアブルの定理である。 の周期性は、この定理の の場合にすぎない。
この定理は、意外なところで威力を発揮する。 たとえば 倍角の公式。
左辺を二項定理で展開し、実部どうしを比べると
三角関数の公式が、複素数の計算から出てきた。
回転を「数」として扱えるようにしたこと — それが複素数の発明の核心である。だから、平面上の回転が関わるあらゆる場面(交流回路、波動、量子力学)に複素数が現れる。
という単純な計算の裏に、回転の数学が横たわっている。
(1) (2)
別解
なぜ周期 なのか。 座標平面で見ると、その理由が絵で分かる。そして計算を短縮する裏技も紹介する。
を掛けることは、 の回転である。
複素数を座標平面の点と見よう( を点 に対応させる)。実数 は点 、虚数 は点 だ。
に を掛けると 。 点 が点 に移った — 原点まわりに 回転している。
に を掛けると 。 点 が点 へ — また 回転した。
回まわると 、つまり元の位置に戻る。
「周期 」の正体は、 だった。 暗記する必要はまったくない — 時計の針が 周するのと同じことだ。
を、この目で見る。 回、 ずつ回る。
で割った余りを見ると
の位置 — それは である ✓。
「回転の余り」と「指数の余り」は、同じことを言っている。
そして、計算を短くする裏技。
を計算するのに、 を で割るのは面倒だ()。もっと楽な手がある。
キリのいい指数から、逆算する。
の倍数を探すほうが、割り算より速いことが多い。 は下 桁 が で割れるので、 の倍数だとすぐ分かる( の倍数判定は下 桁 — 整数の性質で学んだ通りだ)。
という関係も、覚えておくと便利。 の逆数は — で割ることは、 を掛けること( の逆回転)である。
まとめ。
- 代数の目: 指数を で割った余りで決まる
- 幾何の目: 回転が 回で 周する
同じ事実の つの顔。 どちらか一方でも解けるが、両方持っていると忘れない。
ポイント
- の累乗は4つ周期()
- 指数を で割った余りで値が決まる
- 余り は と同じ
よくある間違い
- 余りの対応(、、、)を取り違える
- 指数をそのまま計算しようとする
- 余り のとき と勘違いして や としてしまう(余り は に対応する)