数学II / 複素数と方程式

i の累乗

★ 基礎複素数の計算

問題

次の値を求めよ。

(1)

(2)

ヒントを見る

乗、 乗、 乗、 乗…と順に計算してみよう。すぐに同じ値がくり返し始める。その周期が分かれば、大きな指数も割り算の余りの話になる。

解答・解説

方針

の累乗は の4つがくり返す。指数を で割った余りで決まる。

解答

⓪ 発想 — どう考え始めるか。 回掛けるのは無理だ。周期に気づくのが第一手である。

乗すると に戻る。 ということは、そこから先は同じ つが繰り返す

周期 のサイクル。 だから指数を で割った余りだけを見ればよい。

  • 余り
  • 余り
  • 余り
  • 余り

(1) 余り

(2) 余り

公式(以降4つごとにくり返す)

(1) で余り

(2) で余り

1 (=i⁴)i (=i¹)−1 (=i²)−i (=i³)×i
i の累乗は4つで一周: i→−1→−i→1→i(周期4)。指数を4で割った余りで決まる

発展 — 一歩先へ。 を掛けると 回転」という事実は、複素数の最も重要な性質だ。数Cで、これが一般化される。

なので、 を掛けるのは 回転の特別な場合だったわけだ。

そして、 乗すると回転が 倍になる。

ド・モアブルの定理である。 の周期性は、この定理の の場合にすぎない。

この定理は、意外なところで威力を発揮する。 たとえば 倍角の公式。

左辺を二項定理で展開し、実部どうしを比べると

三角関数の公式が、複素数の計算から出てきた。

回転を「数」として扱えるようにしたこと — それが複素数の発明の核心である。だから、平面上の回転が関わるあらゆる場面(交流回路、波動、量子力学)に複素数が現れる。

という単純な計算の裏に、回転の数学が横たわっている。

(1) (2)

別解

なぜ周期 なのか。 座標平面で見ると、その理由が絵で分かる。そして計算を短縮する裏技も紹介する。

を掛けることは、 の回転である。

複素数を座標平面の点と見よう( を点 に対応させる)。実数 は点 、虚数 は点 だ。

を掛けると が点 に移った — 原点まわりに 回転している。

を掛けると が点 へ — また 回転した。

回まわると 、つまり元の位置に戻る。

「周期 」の正体は、 だった。 暗記する必要はまったくない — 時計の針が 周するのと同じことだ。

を、この目で見る。 回、 ずつ回る。

で割った余りを見ると

の位置 — それは である ✓。

「回転の余り」と「指数の余り」は、同じことを言っている。

そして、計算を短くする裏技。

を計算するのに、 で割るのは面倒だ()。もっと楽な手がある。

キリのいい指数から、逆算する。

の倍数を探すほうが、割り算より速いことが多い。 は下 で割れるので、 の倍数だとすぐ分かる( の倍数判定は下 桁 — 整数の性質で学んだ通りだ)。

という関係も、覚えておくと便利。 の逆数は で割ることは、 を掛けること( の逆回転)である。

まとめ。

  • 代数の目: 指数を で割った余りで決まる
  • 幾何の目: 回転が 回で 周する

同じ事実の つの顔。 どちらか一方でも解けるが、両方持っていると忘れない。

ポイント

  • の累乗は4つ周期()
  • 指数を で割った余りで値が決まる
  • 余り と同じ

よくある間違い

  • 余りの対応()を取り違える
  • 指数をそのまま計算しようとする
  • 余り のとき と勘違いして としてしまう(余り に対応する)